こんにちは、maru-shikakuです。
真面目なのかふざけてるのか、よく分からない。
そんな江戸時代の奇想絵画ばかりを集めた展示が現在開催中です。
伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、岩佐又兵衛、狩野山雪、白隠慧鶴、鈴木其一、歌川国芳
計8人の画家の代表作を集めた構成ですが、見どころは
- 伊藤若冲。
この人のニワトリ。相変わらず細かい描写がいい。
一人だけ真面目な絵しかない。後の人は大抵ふざけた絵が入ってます。笑
- アニメっぽい描写の動物たち。
江戸時代絵師の描く動物はどれも可愛すぎ。
トラは猫みたいで迫力ないし、鬼はニャロメみたいだし。
そんなヘンテコな動物はイジられてグッズ化されてます。こちらは展示会後のミュージアムショップにて購入したマーブルチョコ。
真ん中のワンちゃんはTシャツにもなってます。なんか、こういう犬をどっかの漫画で見たような・・・。
- 鈴木其一(きいつ)
写実的な描写の中に極端に明るい色を置く。アンバランスさはなくていい配色だなと思う。名前は知ってる程度の画家でしたが一番良かった。
以上この3点が注目です。
いい絵だなーと感心したり、これ絶対ふざけてるでしょと突っ込んだりと、飽きさせない奇想の系譜展の感想をどうぞ。
概要
会期:2019年2月9日(土)~4月7日(日)
休室日:月曜日、2月12日(火)
※ただし、2月11日(月・祝)、4月1日(月)は開室
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室:金曜日、3月23日(土)、30日(土)、4月6日(土)は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
観覧料:
当日券 | 一般 1,600円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円
団体券 | 一般 1,400円 / 大学生・専門学校生 1,100円 / 高校生 600円 / 65歳以上 800円
※団体割引の対象は20名以上
※中学生以下は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
※いずれも証明できるものをご持参ください
アクセス:JR上野駅「公園口」より徒歩7分
出典:
https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_kisounokeifu.html
https://www.tobikan.jp/guide/index.html
混雑具合
2/10(日)午後2時ごろに行きました。
三連休だけあって、会場は混み混みでした。待ち時間はないのですが、人が多い。
当日チケットを買うなら、JR上野駅構内公園口近くの美術館チケット売り場で購入する方が、美術館チケット売り場に並ばなくて済むのでおすすめです。
わたしはいつものように後ろの方からさっさと観ました。30分くらいの所要時間でした。
新・北斎展とセットチケットがあります。
六本木の森アーツギャラリーにて開催中の新・北斎展も見られるチケットが売ってます。
- チケットぴあ
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1847648&rlsCd=003
- イープラス
奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールドのチケット情報|e+(イープラス)
- ローソンチケット
奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド|ローチケ[ローソンチケット] イベントチケット情報・販売・予約
2,800円。
別々に買うより400円お得なのでどっちも行かれる方はどうぞ。
感想
若冲のモノクロの迫力!
初っ端は若冲。やっぱり人気ですね。
『旭日鳳凰図』宮内庁三の丸尚蔵館(チラシ撮影)展示期間:2/9-3/10
羽の一枚一枚をびっしり描く鮮やかな若冲はもちろんよかった。
ただ本展示の中では、82歳最晩年の作品でモノクロのニワトリが描かれたのが印象的でした(初公開)。
『鶏図押絵貼屏風』個人蔵(ポスターカード撮影)
個人で持ってるというのがまずすごい。
詳しく見てくと、
空に舞う尻尾がいい。
個人的に3枚目左から2番目の振り返りポーズが気に入ってます。脚の開き方が特に。
蕭白は絵も人生もふざけていた
『雪山童子図』三重・継松寺(ポスターカード撮影)
曽我蕭白は、40まで絵を描きながらぷらぷらしてた、ちょっと変わった方。
作品はもっと変わってて、上のような原色バリバリの絵を描いたり、
『唐獅子図』では、落款(作者の署名)がすんごいヘッタクソな字で書かれてたりします。もっとちゃんと描いたら名作だったろうに。
自ら名誉を捨てるような人って、昔からいたんですね。
芦雪のほのぼの動物たち
再びマーブルチョコへ。
真ん中の犬は長沢芦雪の作品です。
写実的な絵が多い江戸時代で、いい意味で気の抜けた動物を描いてくれます。
猿を描けば、人間ぽい表情です。この人、漫画家で今でも通用するね。
山雪の梅の木はやっぱすごい
狩野山雪。
『老梅図』で有名な画家です。
『老梅図』メトロポリタン美術館(wikipedia)
江戸絵画ではTOP3に入るくらい好きです。
ウィーンって下がったり上がったりする枝がいいんですよね。この発想はすごい。
本展示ではこれではないのですが、
『梅花遊禽図襖絵』京都・天球院(ポストカード撮影)
華やかな襖絵が展示されてます。こちらの制作年は1631年、上のメトロポリタン美術館のが1647年なので、プロトタイプといったところでしょうか。
それでも圧巻。見事。
慧鶴のスタスタ坊主というタイトルセンスよ
『半身達磨図』大分・萬壽寺(ポスターカード撮影)
白隠慧鶴は達磨図ですっかり有名になりましたね。
画家ではなく仏の教えを伝える手段として絵を描いていたようで、その絵は確かにポスター画。今でも十分通用するシンプルで独特の力強い線が持ち味。
タイトルセンスも独特で、『すたすた坊主図』という絵があったり。
語呂はかわいいけど、金をせびりに行く坊主を描いてるというのがまた一癖あり。
鈴木其一はいいな。もっと見てみたい
『百鳥百獣図』米国・キャサリン&トーマス・エドソンコレクション(チラシ撮影)
この作品、遠くから見ると、青、赤、緑の原色がちょうどよく散らばってていい。
『夏秋渓流図』根津美術館(wikipedia)
これなんかもどぎついほど鮮やかな色。
琳派絵師は基本彩度高い絵を描きますが、其一は群を抜いて派手。
そうかと思えば、穏やかな絵も。
『貝図』米国・キャサリン&トーマス・エドソンコレクション(ポスターカード撮影)
『藤花図』京都・細見美術館(ポスターカード撮影)
藤の花が好き。花びら一つ一つ手を抜かず、そしてスラーっと下に垂れる様子がいいですよね。
国芳は一度見たら忘れられない。なんでだろう
『相馬の古内裏』個人蔵(チラシ撮影)
歌川国芳は画面いっぱいに変なものを入れたがります。
それでいて構図のセンスがいいから絵になる。
『みかけハこハゐが とんだいゝ人だ』(wikipedia)
「大ぜいの人が よつて たかつて とふと いゝ人をこしらへた とかく人のことハ 人にしてもらハねバ いゝ人にはならぬ(大勢の人が寄ってたかって、とうとう、いい人をこしらえた。兎角、人の事は人にしてもらわねば、いい人には成らぬ)」
wikipediaより
一見ふざけた絵に見えますが、人は人に助けられていい人になるという含蓄が表現されてます。こういうのがウケてたんですね。
最後に岩佐又兵衛が残ってますが、わたしにはピンとくる絵がなくて割愛。ごめんなさい。
江戸絵画を知る機会にぜひ
かいつまんだ江戸絵画の紹介ってあまりなかった気がします。
西洋画好きな方も行ってみれば、日本もなかなか捨てがたいことがよくわかりますよ。
知らない人や作品が知れてよかったし、もっと作品が見たくなります。
国立新美術館あたりで、江戸絵画の決定版的な展示会やらないかなー。
会場が離れてるのでいっぺんに回るのは大変だけど、北斎展も見に行きましょう。
奇想の系譜展が気に入ったなら、きっとこっちも満足するはず。