こんにちは、maru-shikakuです。
ちょっと遅れちゃいましたが、先日クリムト展を鑑賞し、せっかくならとウィーン・モダン展にも今回行きました。
クリムト展はクリムト個人にスポットライトを当てた展示でしたね。
この記事で説明するウィーン・モダン展は、「クリムト、シーレ 世紀末の道」という副題が示す通り、世紀末ウィーンの2大画家の作品もあります。
が、内容としてはウィーンの文明開化時代の説明に重きを置いてます。
歴史が結構面白かったです。
ウィーンの歴史について学ぶのは滅多にない機会ですし、クリムト展と合わせて鑑賞すると、より時代背景がわかってきます。行くなら2つともが大正解です!
それにクリムト作品はこっちのレベルも高い。
グスタフ・クリムト『エミーリエ・フレーゲの肖像』1902年 ウィーン美術館蔵 図録を撮影
本展の目玉『エミーリエ・フレーゲの肖像』もそうですが(この作品は撮影可能)、
グスタフ・クリムト『愛(「アレゴリー:新連作」のための原画 No.46)』1895年 ウィーン美術館蔵 図録を撮影
こちらの絵が一番良かった。シーレ作品では・・・長くなるので後ほど。
それでは、感想をどうぞ。
概要
会 期 2019年4月24日(水)~8月5日(月)
毎週火曜日休館
※ただし4/30(火)は開館開館時間 10:00~18:00
※毎週金・土曜日は、4・5・6月は20:00まで、7・8月は21:00まで
※4月28日(日)~5月2日(木)、5月5日(日)は20:00まで
※5月25日(土)は「六本木アートナイト2019」開催にともない、22:00まで開館。
※入場は閉館の30分前まで会 場 国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2観覧料(税込)
当日 1,600円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生) 前売/団体 1,400円(一般)、1,000円(大学生)、600円(高校生)
- 中学生以下および障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
- 6月12日(水)~24日(月)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)
- 前売券は2019年1月11日(金)~4月23日(火)まで販売。ただし、国立新美術館では4月22日(月)まで。
- チケット取扱い:国立新美術館(開館日のみ。期間限定前売券は取扱なし。)、展覧会ホームページほか、主要プレイガイド(手数料がかかる場合があります。)
- チケットの詳しい情報は、展覧会ホームページのチケット情報をご覧ください。
- 団体券は国立新美術館でのみ販売(団体料金の適用は20名以上)。
- 会期中に当館で開催中の他の企画展および公募展のチケット、またはサントリー美術館および森美術館(あとろ割対象)で開催中の展覧会チケット(半券可)を提示された方は、本展覧会チケットを100円割引でご購入いただけます。
- 国立美術館キャンパスメンバーズ加盟の大学等の学生・教職員は本展覧会を団体料金でご覧いただけます。
- その他の割引などお得な情報はこちらをご覧ください。
- 会場での観覧券購入に次のクレジットカードと電子マネー等がご利用いただけます。
- クレジットカード:UC、MasterCard、VISA、JCB、AMEX、Diners Club、DISCOVER
- 電子マネー:Suica(スイカ)、PASMO(パスモ)、ICOCA(イコカ)等、iD その他:J-Debit、銀聯
出典:http://www.nact.jp/exhibition_special/2019/wienmodern2019/
音声ガイドは俳優の城田優さんが起用されています。
混雑具合
5/26(日)14:00頃に行きました。メインのクリムト展がやっぱり混んでるのに比べてこっちは控えめ。
会場は圧倒的に国立新美術館の方が広いので、ゆったり見れるのがいいですね。
感想
ウィーン前時代のセンスの良さ
1900年ごろにウィーンは文明の爆発とも言える文化の発展を遂げます。
そこでは絵画や建築を中心に作品がわんさか現れるのですが、19世紀中頃までの前時代は、絵画というよりは家具や小物にウィーン人のセンスの良さが現れていました。
例えば椅子。
図録を撮影
今こんなの作ったらお値段いくらになるのでしょうね。特に一番右を見て欲しいのですが、シンプルなデザイン。これがウィーンの特徴です。
図録を撮影
ティーポット。雑貨屋に売られてても違和感ないデザインですよね。
そしてウィーンの芸術といえば音楽。モーツァルトやシューベルトといった著名作曲家の肖像画がありました。
ヴィルヘルム・アウグスト・リーダー『作曲家フランツ・シューベルト』1875年頃 ウィーン美術館蔵 図録を撮影
シューベルトといえば丸眼鏡。こうやって眼鏡だけ見ると、かなーり奇抜なデザインです。
前時代の絵画ではこの作品が印象的でした。
フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー『バラの季節』1864年頃 ウィーン美術館蔵 図録を撮影
写真としてもいい構図の絵ですね。
ウィーンの文明開化は皇帝ヨーゼフ1世なしでは語れない
皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の治世は1848-1916年。
フランツ・ヨーゼフ1世 wikipediaより
この方はほんと偉大ですね。ウィーンの文化はヨーゼフ1世の治世期間に花開き、閉じました。
1918年にクリムト、シーレが亡くなり、絵画のメインストリームはピカソやマティスのフランス、カンディンスキーやクレーのドイツが残る。
絵画史はここら辺の栄枯盛衰のスピード感が凄まじい。それだけ時代が目まぐるしく変わっていった証拠でもあります。
話を戻して、皇帝ヨーゼフ1世はまず市街を守る城壁を取り壊し、交通の大動脈となるリンク通りを開通させます。
沿道に主要建築物が次から次へと建てられ、ウィーンは一気に大都市へ生まれ変わりました。
ヨーゼフ1世はなんだか気になってwikiで生涯を読んでいたら、かなり不幸な人でもあることがわかりました。息子は心中し、奥さんは暗殺されるという悲劇。
また、甥の皇位継承者(仲はよくなかった)も暗殺され、これをきっかけに第一次世界大戦が勃発する事態となります。
この継承者の名はフランツ・フェルディナント。同名のロックバンドはここからとったそう。特に深い理由はないらしいです。
皇帝の銀婚式にはリンク通りにて画家ハンツ・マカルト演出のパレードが開かれたそうです。
マカルトさんはクリムトの先輩にあたる大家です。絵画技術以上に社交が抜群に上手くて、画家にしてはかなりの地位と人気があった人みたいですね。
ハンス・マカルト『ドーラ・フルニエ=ガビロン』1879-80年頃 ウィーン美術館蔵 図録を撮影
気に入った絵。ちょっとこの写真ではわかりにくいですが、実物はかなり彩度が高く、まっかっかです。他の絵もはっきりした色ですから、そういう画風なのでしょう。
生前はかなりの名声があったのに死没後は顧みらないのは、派手すぎる色使いが原因みたいですが、今こそ再評価してもいい画家なのではと思いますね。
クリムトのレベルの高さについて
奥の左から2番目に座ってるのがクリムト。めっちゃラスボス感ありますね(^^;; 一人だけスーツじゃないし。
実際、分離派メンバーのカール・モルや
カール・モル『朝食をとる母と子』1903年 ウィーン美術館蔵 図録を撮影
クルツヴァイルの作品が展示されてましたが、クリムトとはやっぱりレベルが違う。
グスタフ・クリムト『愛(「アレゴリー:新連作」のための原画 No.46)』1895年 ウィーン美術館蔵 図録を撮影
図録のコントラストが現物とだいぶ違うため、出来るだけ似せるように補正しました。
実際はこれくらい霞んでます。霞みから顔が浮き上がるような演出がとっても印象的でしたし、両脇の金箔のような帯が絵を引き締めてくれて、緩急の効果が出てます。
クリムトと他の分離派メンバーとどこに差が出るんだろう?と考えると、やっぱタッチ(筆の跡)が独特かどうかですね。
独特ってどういうこと?という質問に答えるのは難しいのだけれども・・・絵画の場合、色彩や構図以上にタッチが一流二流を分ける基準とだけ言っておきます。
シーレの独特さを考察
展示会の最後の方にようやく出てくるシーレ。
シーレもかなり独特のタッチです。
エゴン・シーレ『自画像』1911年 ウィーン美術館蔵 図録を撮影
エゴン・シーレ『美術評論家アルトゥール・レスラーの肖像』1910年 ウィーン美術館蔵 図録を撮影
シーレの作品を見てると、直線がいたるところに隠されてます。
上の2作では指が一番目立ちます。なんでこんな形なの。笑
あとは首筋とか、手足とか・・・その隠された直線がなんともいえないリズムを醸し出してる。
エゴン・シーレ『ひまわり』1909年 ウィーン美術館蔵 図録を撮影
シーレ作品では『ひまわり』が気に入りました。 もう枯れかけ?な感じですが、彼の基調カラーである褐色を使うとどうしてもこんな感じになっちゃうんですねー。
この絵も直線が映えてとてもいい!
シーレはいくつかありましたが、もう少し見てみたくなりました。
最後に
フルの図録の半分以下の値段で買えたミニ図録。
図録はかさばってしょうがないので、こういうのは大歓迎。
絵画も粒ぞろいですが、ウィーンの歴史が学べるのもいいなーと思った展示会でした!
今回鑑賞して、この記事を調べ物をしながら書いてて思ったのが、第一次・第二次世界大戦あたりの画家事情って面白そうということ。戦争と画家みたいなタイトルの展示会があったらぜひ行ってみたい。
最初に書きましたが、クリムト展とセットで見るとより楽しめるので、どっちも行っちゃったほうが全然いいです。
それでは!