こんにちは、maru-shikakuです。
まさか100%ムンクだけで、約100点も上野にやってくるとは思いませんでした。
もちろん、『叫び』もやってきます!初来日!
『叫び』オスロ市立ムンク美術館蔵 チラシを撮影
橋の上の男が、自ら叫んでいるように誤解されることも多いが、実際には、自然から発せられる幻聴に耐えかねて、耳を押さえている様子が描かれている。
wikipediaより
ということらしいですよ。
ちなみにムンク美術館はムンクの故郷でもある、ノルウェーのオスロ市にあります。
地図だとこんなところ↓
ムンクは何回かパリ留学してます。
そこで印象派〜ゴッホ・ゴーギャンのポスト印象派から大きな影響を受けます。
『メランコリー』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き
陰影がなく平面的。国立新美術館で特別展が開催中のボナールにも似た雰囲気です。
しかしパリから程遠い北欧、ノルウェーで絵を描き続けた彼の画風はちょっと独特なんです。
日中の風景はまずないですし、夕方〜夜の絵ばかり。
他にもいくつかムンク作品には特徴があるのですが、それは本編の感想で説明します。
ムンクだけしかない超レアなムンクの大回顧展のレポートをどうぞ!
概要
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- 会期:2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)
- 休室日:月曜日、12月25日(火)、1月1日(火・祝)、15日(火)
- ※ただし、11月26日(月)、12月10日(月)、24日(月・休)、1月14日(月・祝)は開室
- 開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
- 夜間開室 金曜日、11月1日(木)、3日(土・祝)は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
- 観覧料:
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当日券 | 一般 1,600円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円
団体券 | 一般 1,400円 / 大学生・専門学校生 1,100円 / 高校生 600円 / 65歳以上 800円
※団体割引の対象は20名以上
※中学生以下は無料
※高校生は12月無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
※いずれも証明できるものをご持参ください
出典:https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_munch.html
混雑状況・チケットはここで買うべし!
10/27(日)14:00頃に行きました。
チケット売り場はかなりの列で買うだけで15分くらいかかりそうです。
展示内もかなりの盛況。
みんなムンク好きなんだねー。
『叫び』もあるし、印象派っぽいからか。
- チケットについて
JR上野駅構内の公園口改札手前にミュージアムチケット売り場があります。
ここでは上の喉の展示会のチケットも購入できて、かつ知名度がないのか、ほぼ並ばずにチケットを買えます。
上にも書いたように、東京都美術館の館内チケット売り場はかなり混んでるので、駅ナカの売り場で買ったほうが時間の節約になりますよ!
撮影スポット
展示会場出口近くで『叫び』と記念撮影ができます。
ちなみに女性が持ってるピカチュウのぬいぐるみは、ムンク展とのコラボグッズです。叫んでます。
グッズはいろんなとことコラボしてて力が入ってますね。
湖池屋(ムーチョの叫び)、ビームス、ルピシアとかです。
感想
長時間露光にムンク作品のナゾを解く鍵がある?
ムンクは多数の自画像を描いています。
『自画像』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き
『青空を背にした自画像』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き
『地獄の自画像』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き
初期は普通の絵を描いていたムンクはだんだん表現を求めるようになる。
そして絵画だけでなく写真でも自画像を残しています。
『自画像:マラー』オスロ市立ムンク美術館蔵 wikipediaより
シャッターのスピードを遅くして、ブレた写真を意図的に撮影した作品があります。
ここにムンクを理解する鍵があるんじゃないか?
と、この写真を見たときピンときました。
写真の技術に長時間露光というのがあります。
シャッターを開けっぱなしにして、動きをそのまま表現する技法です。
例えば、
渋谷4号線を長時間露光で撮影
拙作でございますが・・・車のヘッドライトを長時間露光すると、光の線になって写し出されます。
その他、川の渓流や海のさざ波を長時間露光で写すと、流れる水がシルクのような雰囲気に変わる。そんな写真を見たことがあるでしょう。
ムンクは長時間露光という写真の技術を絵画に応用したんじゃないかな?
『叫び』を読み解く
そう考えると、『叫び』がなんとなく理解できる気がします。
個人的に思ったことを並べてみます。
- 空は真っ赤に燃える夕日が沈んでいくまでの、大気の揺らめきを表現
- 右の緑の部分は木々が風に揺れているのを表現
- 奥の湖は夕日を照らし、その手前の陸地は夕日が沈んだ後の暗闇を表す
- 人工物の橋は動かないので、しっかりとした描写
こんな感じで、時間が流れている様子がひとつの画面の中に収まってます。
そしてこの絵は目線の誘導があります。
空の線から始まり、木々→橋→人→湖→空・・・とぐるぐる回るように描かれてて、その動きで時間が流れているような感覚になります。
手前の男の顔ばかり気になるけど、周りの風景がかなり凝ってるんじゃないかなーと思いました。
『月明かり、浜辺の接吻』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き
この絵では、男女の濃厚なキスシーンで顔が動く様子が描かれた結果、顔同士がくっついてしまう斬新な表現になっています。
月明かりの反射も特徴的ですね。ビームのように一直線に伸びる線で、月の浮き沈みの動きが表現されてます。
登り棒みたいに不自然に直線的な木もそうですね。
自然を単純な形にデフォルメして動きを出す技法があちこちに見られます。
幻想的な題材が多い。その中でも時間の表現が目立つ
ムンクが活躍したのは19世紀末。
そのまま世紀末芸術という幻想的なジャンルが流行ってたようです。
ルドンとか
『眼=気球』ニューヨーク近代美術館蔵 wikipediaより ※ムンク展に展示していません。
クリムトとか。
『接吻』ウィーン・ギャラリー蔵 wikipediaより ※ムンク展に展示していません。
ムンクも例に漏れず、自然の風景より内面の世界を映し出すようなテーマの絵を好んで描いていました。
しかし、上で挙げた2人と違うのは、やはり時間を表現しているところ。
『別離』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き
分かりやすい絵ですね。恋人と別れて悲しんでいる男の絵。
男の頭から現れたかのように髪がなびき、女性のドレスと海岸線が同化しそう。
ここからも時間を線で表そうとする表現が読み取れますね。
『生命のダンス』オスロ国立美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き
左から白い服、赤い服、青と赤の暗い服の女性3人は、無垢、官能、死を表しているそうで、女性の時間的な変化を描いているとか。
えっ、つまり若い頃は無邪気だったけど、欲に溺れて、死に至るってことかな?
ムンクは女性関係でいろいろありましたので、悲観的な女性観が現れてます。
最後に
初めて見る作品ばかりでいい特別展でした!
欲を言えば作品はいっぱいあるんだけど、絵の解説のところでもっとムンクの生涯についても触れて欲しかったかな。ちょっと文章が少ない気がする。
個人展はそこが面白いところなので。図録を買えばよかったか?
作品に関しては、ムンクの表したかったことがなんとなくわかったような気がしました。
この記事で何度も出た、時間の表現。
そこがキーだと個人的に思います。
ムンクだけを扱う展示なんて滅多にないので、この機会を逃さないようにしましょうね。
同時開催中の美術展の感想はこちら。