まあるい頭をしかくくするブログ

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コートールド美術館展の感想@東京都美術館

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こんにちは、maru-shikakuです。

 

印象派の有名絵画ばかりの夢の展示がこの秋実現します!

というのも、ロンドンの超有名なコートールドコレクションが、美術館の改修工事に合わせて日本にやってくるわけでして。

 

中でもセザンヌのコレクションは世界的にみても一級品しかなくて、『カード遊びをする人々』『大きな松のあるサント=ヴィクトワール山』『アヌシー湖』といった代表作品が日本にやってくるのはすごいこと!

 

ただ、目玉はやはりマネ最晩年の傑作、『フォリー=ヴェルジェールのバー』ですね。TOP画像の絵です。なんとなく見たことがある方が多いはず。

 

とはいえこの絵にいろんな謎が散りばめてあるのは全く知らなかったですね。

他の名画も印象派特有の現実とちょっと違う工夫があって、本展示は画家の工夫した箇所についても詳しく解説するのが特長となっています!

 

きっと印象派の画家たちがやりたかったことが見えてくるはずです。

この記事ではその辺の考察を含めた感想を書いていきますね。

 

 

概要

会期:2019年9月10日(火)~12月15日(日)

 

休室日:月曜日、9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)

※ただし、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・休)は開室

 

開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)

 

夜間開室:金曜日、11月2日(土)は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)

 

観覧料:

当日券 | 一般 1,600円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円

団体券 | 一般 1,400円 / 大学生・専門学校生 1,100円 / 高校生 600円 / 65歳以上 800円※団体割引の対象は20名以上

 

※中学生以下は無料

※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料

※いずれも証明できるものをご持参ください 

出典:https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_courtauld.html 

 

混雑具合

9/12(木)15:00頃に行きました。開催して2日目の平日ということもあって、余裕を持って見られました。

 

ただ、この秋の目玉の展示の一つというだけあって、日にちが経つにつれて混みますし、おそらく鑑賞に時間がかかるので流れが悪いかもしれません。

 

というのも、わたしはいつも40分ぐらいで展示を見終わるペースなのですが、コートールド美術館展は作品数こそ約60点と少ないものの、一つ一つの作品に力強さがあり、じっくり解説を見ながら鑑賞したため、1時間ぐらいかかりました。

 

土日はゆったり時間を設けたほうがいいかもしれませんね。

 

また、チケットを並ばず買う方法があります。上野駅構内、公園口改札手前に美術展全般の当日チケット売り場があります。そちらを利用するとスムーズにチケットが買えます。 

 

撮影できるスポット

東京都美術館恒例の展示の最後に撮影ブースが設置してあります。

 

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ルノワールの傑作『桟敷席』を一人掛けソファに座りながら。

なんでかというと、パネルをよく見ればわかりますが、この絵はコートールド邸でソファの上に飾られてあったからなんですね。

 

感想

コートールドさんの趣味は最初の方でわかる気がする

この展示は人口シルクで巨万の富を得たコートールドさん個人のコレクション展です。個人の収集品ですと、日本では国立西洋美術館の松方コレクションが有名ですね。

 

松方コレクションは相当な目利きの元に集められたようですが、コートールドコレクションも数は少ないものの一級品ばかり厳選されています。

 

一流が集まる中でやはり個人のコレクションということで、コートールドさんの趣味が目立つ気がします。

 

最初の方の展示でなんとなく傾向がつかめました。

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ『花咲く桃の木々』1889年 図録を撮影

 

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クロード・モネ『アンティーフ』1888年 図録を撮影

 

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クロード・モネ『花瓶』1881年着手 図録を撮影

 

いずれも点描のように小さいタッチを重ねて絵を描いていく技法が見られます。展示の中には点描で有名なスーラの絵もいくつかありました。

 

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ジョルジュ・スーラ『クールブヴォワの橋』1886-1887年頃 図録を撮影

 

細かいタッチが好きといっても、そういう筆使いを多用したゴッホの絵が1点しかない。

 

セザンヌが好きな点からわかる気がします。あんまり色が派手すぎるのは好きじゃないんでしょうね〜。

つまり繊細なタッチの繊細な色使いが好み。日本人の感覚に近いですね。

 

コートールドさんは国の美術品購入にも関わったらしいですが、ゴッホ作品は渋めな黄色バージョンの『ひまわり』を選んだのも好みなのでしょう。

 

セザンヌを解説。こだわりの空気感、遠近法の鬼

コートールド美術館のセザンヌ作品は有名すぎるほど有名なものが揃ってて、今回の油彩画10点、これだけでセザンヌを語れちゃいます。

 

それでもセザンヌは分析が難しい部類の画家で捉えどころがありません。

それだけ奥が深いとも言えます。

 

ここでは曖昧ではありますが個人的なセザンヌの見方を教えます!

 

最初はアヌシー湖。セザンヌの中では派手めな色彩で非常に綺麗でした!

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ポール・セザンヌ『アヌシー湖』1896年 図録を撮影

 

ポイントはまず山の稜線ですね。45°の単純な角度で描かれています。

よく見ると手前の木の枝がほぼ同じ角度で伸びてます。葉っぱの描かれ方も斜め線の単純な形になってるのもあります。

 

湖面の反射を見ると垂直線が多用されています・・・ここまで書くとお分かりでしょう。

 

セザンヌは単純な垂直・平行・斜め線を画面の至る所に散りばめて絵の中でリズムを作っているんです。いわゆる空気感の一つ。

 

空気感をもたらすのは線だけじゃありません。

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ポール・セザンヌ『大きな松のあるサント・ヴィクトワール山』1887年頃 図録を撮影

 

ちょっと上の画像ではわかりづらいですが、全体的に緑色のくすんだタッチが全体的に散らばっています。空にも。

現実にはあり得ない場所に葉っぱをイメージさせる緑を置くことで、これもリズムをとってるのだと思います。

 

さらにリズムに関していえば、

 

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ポール・セザンヌ『ジャス・ド・ブッファンの高い木々』1883年頃 図録を撮影

 

この絵がわかりやすいです。今回の展示でかなり気に入った絵です。

拡大してみると、

 

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ポール・セザンヌ『ジャス・ド・ブッファンの高い木々』部分 図録を撮影

 

短冊形のタッチが重なっていてこれもリズミカル。

タッチ同士は時に離れていたり重なっていたりして複雑です。

また、同じ緑でも下地と色味や明るさを変えていて、これが微妙な立体感を生みます

 

セザンヌが狙ってる効果はどれも地味でさりげないものばかり。これが自然な印象を与えるとも言いますし、わかりにくいとも言えます。

 

さあ、超有名な『カード遊びをする人々』!

 

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ポール・セザンヌ『カード遊びをする人々』1892-1896年頃 図録を撮影

 

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↑図録にある絵の中には、透明の解説文があって、ページを重ねるとこのようにポイントでわかりやすく技法を教えてくれます。『カード遊びをする人々』はおかしい箇所ばかりなので解説にはもってこいですね。詳しくは展示もしくは図録にて。

 

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ポール・セザンヌ『カード遊びをする人々』部分 図録を撮影

 

立体感は色でも作られます。上の人物の肩あたりに後退色の緑と前進色の赤を並べて配置することで立体的に見せています。

 

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ポール・セザンヌ『キューピッドの石膏像のある静物』1894年 図録を撮影

 

これなんか立体的に見せるために背景の地面を超急斜面にしてます。

セザンヌは静物画に関しては結構挑戦的な構図で描いたりして、ピカソに影響を受けたと言われています。

 

セザンヌについてはまだ色々言いたいことはありますが、のちの機会ということでお次。 

 

ルノワールの傑作『桟敷席』も目玉の一つ。黒が鮮やか 

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ピエール=オーギュスト・ルノワール『桟敷席』1874年 図録を撮影

初期のルノワールは地味目な色の絵を描いてたんですね。この絵の黒の出し方はかなり驚きました。

後で書きますがマネも黒が大得意の画家です。そんなマネに負けないくらいの鮮やかな黒がとても印象的な作品。

 

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ピエール=オーギュスト・ルノワール『春、シャトゥー』1873年頃 図録を撮影

  

ルノワールはこの作品もよかったなあ。パステルチックな緑がいい。

 

コートールドさんはルノワールは初期(1880年以前)に頂点に達していたと評したようですがわたしもだいたい同じ意見です。

中期がちょっとワンパターン化していたと思います。最晩年は興味深い作品があったような。大規模なルノワール展をそろそろやってほしいですね。

 

マネの『フォリー=ヴェルジェールのバー』の不思議ポイント

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エドゥアール・マネ『フォリー=ヴェルジェールのバー』1882年 図録を撮影

 

相変わらずというか、見ての通り、マネの黒が映える傑作ですよこれは。

図録に何ページもの力の入った解説があるため詳しいところはそっちに任せますが、疑問を感じるポイントは一緒ですね。

 

この絵は中央の女性の後ろが一面鏡になっています。左手前のシャンパンは鏡合わせになっていることからわかります。

 

画面右に写っている女性が中央の方と同じなのですが、ちょっとずれすぎ。しかも、一緒にいる男性は真ん中の女性と向かい合うはずなのに鏡の中にしかいない。

 

この謎は『フォリー=ヴェルジェールのバー』が発表された当時も相当ツッコまれたようで、その時の風刺画で、男性がちゃんといるバージョンのラフ画が雑誌に掲載されたぐらい揶揄されたそう。

 

その真意はこの絵の発表後一年で亡くなったマネが墓場まで持って行ってしまったのですが・・・。おそらく3Dを2Dに落とし込むために、望遠レンズに見られる圧縮効果を使ったのでしょう。

ただ、鏡の中の男女の位置は相当書き直しがあったそうですね。

 

絵の重心としては相当右に寄っているように見えます。

↓美術館の見解では中央の女性を目立たせるためにあえてそうしたとのこと。

参考のジュニア用ガイド:https://www.tobikan.jp/media/pdf/2019/courtauld_jguide.pdf

 

それもあると思いますが、わたしはどっちかというと左にいる、一人だけ明るい色で描かれた小さな女性と釣り合わせたんじゃないかなと考えました。

 

この女性はマネのモデル兼友人兼愛人のメリー・ローランとされています。配色が浮いてますから、さりげなく特別な意味を持たせたのではと推察します。

 

その他の作品も力がある! モネ、ピサロ、ドガ、ゴーガン・・・

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クロード・モネ『秋の効果、アルジャントゥイユ』1873年 図録を撮影

 

綺麗な水鏡。モネは小舟に乗って絵を描いたそう。よく見ると絵の具を盛り上げたり引っ掻いたりして質感も重視しています。  

 

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カミーユ・ピサロ 『ラファイエット広場、ルーアン』1883年 図録を撮影

 

ピサロの作品はパステルパステルしてて、結構今の時代にウケるんじゃないかと思ってます。

 

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エドガー・ドガ『舞台上の二人の踊り子』1874年 図録を撮影

 

もちろんドガも持ってます!斬新な構図ですし、相変わらずドガの陰影は唯一無二。

彫刻や下絵が多数あり、ドガ好きも満足な展示です。

 

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ポール・ゴーガン『ネバーモア』1897年 図録を撮影

 

ゴーガン(ゴーギャンじゃなかったか?)コレクションのうち有名なのがこちらの『ネバーモア』。

 

ちょっと画像が派手目になっちゃいましたが、実際はもっと地味な色合いです。自然な色を好むコートールドさんはゴーガンがお気に入りだったそうですね。

 

最後に。印象派の傑作をじっくりと。 

冒頭も書きましたが一つ一つの絵の迫力がものすごく、かなり見応えがある展示です。

また、コートールド美術館は絵画研究施設にも使われているそうで、絵の分析がしっかりしてて面白いです。

 

この記事と現地の解説を読めば、より印象派について知ることができるんじゃないでしょうか。

 

個人的には展示を見てマネに興味が湧いてきました!

印象派の開祖でありながらなかなか渋い作風で人気になるかどうかわかりませんが、大回顧展やらないですかねー?

 

それでは。

 

【追記】ハプスブルク展感想アップしました。

 

www.maru-shikaku.net