こんにちは、まるしかです。
風景撮ってるとパノラマ撮影が次第に気になってきます。
一眼を持って適当に体を回転させて撮った写真が、合成ソフトのおかげで意外と綺麗に繋がっちゃう今日この頃ですが、ちゃんとしたいならパノラマ撮影用の機材を買っておいたほうが無難です。。
とはいえちゃんとしたものは高い。わたしは中華製の代替品で乗り切っています。今回は安いけど意外と使えるものをご紹介します。
さらにパノラマ撮影に必要なものから応用的なワザまで説明します。ビギナーレベルからセミプロレベルまで、パノラマ撮影に関することはこの記事だけで一通りわかるはず。
おまけでphotoshopで画像の上下に黒帯をつける方法も最後に解説します。
ちょっと長いから、第一ステップだけでも見ていってください😊
第1ステップ:水平回転させる基本的なパノラマ撮影のやり方と注意点
アイテムその1:レベラー(レベリングベース)
パノラマ撮影を成功させるにはカメラをきちんと水平回転させるのが欠かせません。
さっきも言ったように手で構えてぐるぐる体を回すのが手っ取り早い方法です。
が、回っている最中にカメラが上下にぶれることも。
そうすると、結合がうまくいかなかったり、上下が合わなくてトリミングしたらすごく細長い画像になってしまった・・・ということが起こっちゃいます。
しっかりカメラを三脚に取り付けて、中心の棒を回転させれば済む話。
ではありますが、地面が斜めになってるとアウト。三脚の脚の伸び縮みで調整するのは一苦労です。
水平をしっかり取るなら、レベラーとかレベリングベースと呼ばれるアイテムがいい。三脚とカメラの間に取り付けます。
NEEWER オフセットバブルレベルを採用する三脚レベリングベース【並行輸入品】
安いNEEWER製のを使ってます。タイプが三つありますが、タイプⅡです。
これは上の台座がグニュグニュっと動いて水平をとってくれるもの。
こんな感じでサイドネジを緩めると±10°の範囲で台座が傾きます。緩め具合で台座の動きの硬さが調整できます。
滑らかな動きで、さすがNEEWERと言える商品。
あとはカメラ側で水平になっているかモニターで確認できる機能を使って確認すればOK。
台座の上に雲台をのっけても問題ないです。単純に水平出しするのに重宝するので、パノラマ撮影するしないに関わらず、わたしは普通の風景撮影でも常に三脚につけっぱです。
アイテムその2:一定の回転角度で水平回転させるパノラマ雲台
現地で水平出ししたら、中心の棒を回転させるだけ。
水平回転が重要と書きましたが、パノラマ撮影を成功させるもう一つのポイントとして、
- 一定の回転角度で水平回転させる
というのも、パノラマ撮影では結合処理を成功させるために、隣同士の画像が重なっているのが前提で、だいたい40%前後重なってるといいらしい。
まあ、これはだいたいでOKです。半分よりちょっと少なめ、くらいの感覚で。
重なり過ぎるのもダメなのはちょっと意外ですよね。おそらく同じ物体が3枚以上の写真に写ってしまうと、結合処理で変になっちゃうからだと思います。
準広角の35mmから超広角の14mm(フルサイズ換算)のレンズで実際テストしてみましたが、おおよそ横位置では20°、縦位置では15°間隔で一定に回すのが超重要です!
↑目安はこの数字ですが、実際には自宅で部屋をパノラマ撮影して、結合がうまくいくか確認しておくとベター。
で、角度を見るのに必要なのがパノラマ雲台。
・タイプⅠ:アルカスイス互換あり
Neewer パノラマ三脚ヘッド 360度底面回転アルミ合金雲台 パノラマスケールとQRプレート、バブルレベル付き 三脚一脚スライダーDSLRカメラ用 耐荷重10Kg
・タイプⅢ:アルカスイス互換なし
Neewer カメラパノラマパンベース アルカスイススタイルプレート付き 3/8インチネジ アルミ合金パノラマボール三脚ヘッド バブルレベル付き 三脚一脚デジタル一眼レフカメラ対応 耐荷重10キロ
さっきの商品のタイプⅠもしくはタイプIIIが該当します。
カメラを直付けするならタイプⅢの方が安くていいです。
が、アルカスイス互換のタイプⅠならクイックシューで素早く装着ができておすすめです。
※アルカスイス互換とはざっくりいうと汎用の雲台プレート取り付け方式です。
これに対応するプレートと雲台があれば、メーカー関係なくカメラと三脚を簡単に取り外しできます。
L型プレートがあれば、縦位置でパノラマ撮影ができます。
(パノラマ撮影の場合は雲台を横にすると回転軸がずれるのでOUT)
カメラは水平回転するため、同じレンズだと縦位置の方が上下を広く写すことができます。
↑こちらはα7Ⅲ専用プレートの記事。
カメラごとに形にあったプレートはいくつか存在します。なければ汎用型でも可。
パノラマ雲台がベストですが、ようは回転角度がわかればOK。
なので、2way/3way雲台に10°間隔の目盛りがあればそちらで代用可能です。
パン棒があるから動かしやすいのがいいですね。
Neewer カメラビデオ三脚用3WAY雲台 360度回転可 1/4inchクイックシュープレート付き 三脚、一脚、カメラスライダ、ライトスタンド、DSLRカメラに適用 最大耐荷重10kg
アルカスイス互換性があるのはNEEWER製。買ってみたらグリスが若干塗り過ぎなのが気になるけども、ものは安くて立派です。
アイテムその3:レリーズ
一応三脚の上にレベラーとパノラマ雲台をセットし、カメラの設定で2秒タイマーを使えばちゃんとしたパノラマ撮影が可能です。
ただし風景の場合、雲が流れると合成に失敗しやすくなります。タイムラグをなくす意味でもレリーズはあった方が無難です。
レリーズはカメラに合うものであればなんでもいいです。
わたしは、格安のロワジャパン製を使っています。
ロワジャパン シャッター リモコン コード レリーズ SONY RM-VPR1 対応【プロ専用 液晶LCD タイマー機能付 撮影回数設定無制限】【PDF日本語説明書あり】
パノラマ撮影の作例
天の川アーチ
iso1600, F2.8, 30sec., 20mm 赤道儀使用 縦位置8枚の写真をパノラマ合成
北の方が途切れてしまい、完成には至らなかったのですが、
天の川アーチはパノラマ撮影ならではこそです。
フルサイズ換算20mm以下の超広角レンズを用いてできます。
上の写真は光をより取り込むために赤道儀を使用しています。
赤道儀についてはこちらの記事へ。
作例からわかるパノラマ撮影のメリット
iso100, F2, 10sec., 40mm ソフトフィルター使用 横位置4枚の写真をパノラマ合成
iso100, F11, 30sec., 98mm 縦位置6枚の写真をパノラマ合成
2枚目、中央のオレンジ色の通りを拡大すると紳士服のコナカの看板が見えてしまいます(PCでクリックすれば小さいけど見えるはず)。
パノラマ撮影はただ広く撮れるだけじゃなく他にもメリットがあります。
- 高解像度化
- レンズによってはパースの強調や歪みを抑えられる
1つ目は複数の写真をつなぎ合わせるから何となく分かりますよね。
2つ目は超広角レンズの欠点を補うものです。
超広角は広い範囲が撮れる反面、手前のものは大きく写り、奥のものは小さく写るパースの強調が激しいです。目で見た光景の遠近感とはちょっと違くなってしまうのですよね。
もう少し狭い範囲が写るレンズでパノラマ撮影することで、見たままに近く、かつひらけた風景写真を撮ることができるのです!!
遠近感が実際と近いのは、フルサイズ換算の焦点距離で50mm前後の標準域のレンズを使用した場合です。
1枚目の作例は40mmのレンズ。
2枚目は望遠ズームでやや圧縮効果(手前と奥の距離感が縮まって見える)が出てます。
第2ステップ:ノーダルポイントとその見つけ方
ノーダルポイントとは?
第1ステップで自然風景を撮るなら事足ります。
ちょっとこっからはマニアックなので、読み飛ばしてもらって構いません。
ここに人工物の直線が入るとパノラマ結合の難易度が高くなるのです。
成功率を高めるにはノーダルポイントを三脚の中心軸に置く必要があります。
簡単にいうと、レンズに入った光は集められ、カメラに内蔵されている撮影素子(イメージセンサー)へ移ります。このレンズの中心地がノーダルポイントです。
出典:https://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/manual/19/01.html
ここを中心軸にしないで撮影素子のあるボディを回転させるから、パノラマ結合で失敗するわけなんです。
カメラレンズは複数枚のレンズで構成されていますし、形状・枚数・配置はレンズごとに全部違います。なのでノーダルポイントもレンズ固有のものです。
ざっくりとしたところではレンズの真ん中くらいにあることが多いです。つまりカメラは三脚より後ろ側へ移動しなければいけません。
ノーダルスライドプレートの出番!
以前の記事よりちょくちょく出していたノーダルスライドプレートの出番です!
カメラをプレートに取り付けたら、後ろにずらすだけです。
こちらは100mmの短いもの。ミラーレスカメラに小さいレンズならこのサイズでOK。上のはちょっとレンズが大きくてチョンづけ💧でも本体+レンズが軽いからなんとかなってる。
※アルカスイス互換プレートまたはL型プレートが必須
Neewer カメラ用100mmプロフェッショナルレールノーダルスライドメタルQRプレートクランプ アルカスイス付き 三脚ボールヘッドクイックリリースに対応
いやほんとNEEWER様様です。
このノーダルスライドプレートですが、他にもマクロ撮影でカメラを近づけたい時とか重宝するらしいです。
わたし個人的には、
- 頻繁に触るボディが三脚から少しずれることで操作しやすい。
- レンズとボディのバランスが取りやすい。
ことから通常の撮影でも使ってます。
ズームレンズなど長いレンズを使うときは200mmタイプを選択。
中心をスライドできるネジがあって、アルカスイス互換プレートを使わずカメラを直接接続したい場合も、このタイプならイケます。
[MENGS] DB-180 クイックリリースクランプ 1/4\"ネジ パノラマカメラクイックリリースプレート+クイックリリースクランプ Arca-Swiss規格に準拠
↑あと高いけどこんなのもあります。
ノーダルポイントの見つけ方。ノートPCを使うと楽
調べたら、カメラ前方に割り箸や乾電池を重なるように置いて撮影する方法がありましたが、セッティングがすごく面倒。
身近にあるもので探したら、ノートPCがベストでした。
このようにセット。
ディスプレイが一直線です。
三脚の中心軸にカメラが乗っている=ノーダルポイント設定前の場合、カメラを左に振ると、
ディスプレイが見える!これがずれている状態。
右に振ると背面のアイコンが見えちゃいます。
カメラを後ろにずらして・・・
はい、振ってもディスプレイは一直線。
右も。これでOK。
第3ステップ:マルチロウパノラマが安くできる方法
マルチロウパノラマとは?できるアイテムは?
ここまでくるとマニアック過ぎて、この方法は試しもしてませんが、機材だけ買ってます😓(理由は後述します)
これまでは水平回転を一列に並べて結合するシングルロウ(ロウ=列)パノラマの話。
なんで、マルチロウパノラマとは、レンズを上向き/下向きにセットして水平回転したものを縦横で結合させる壮大な方法なのです!
一から始めるマルチロウパノラマ撮影教室 | カメラと三脚とアルカスイスと ときどきMac
↑この記事で知りました。
そんな超マニアックなマルチろうパノラマはできる機材が限られていて、RRS製くらいしか選択肢がありませんでした。
あとはノーダルニンジャが有名です。
Nodal Ninja3 MKII Starter Package [正規輸入品]
プロ御用達。3万は高いよ・・・
そんな中やはりNEEWERから似たような商品が出ていました。
およそ10キロの耐荷重。シャッター直後に自動回転するらしい。
これはこれで欲しいけども、普段も使えそうなもので探したら、ジンバル雲台と呼ばれるものも代用可能とわかりました。
水平・垂直回転目盛りあり、X軸Y軸の調整機能ありなら代用可です。
今探したら、買ったタイプのがなくなってました・・・
Neewer プロなメタルジンバル三脚ヘッド360°パノラマヘッド 100mm可動水平軸、アルカスイス標準QRプレートとバブルレベル付き デジタル一眼レフカメラ用 耐荷重33lbs/15kg
あとで見たらありました。あんまり生産してない?
koolehaoda ジンバル雲台 360°パノラマヘッド と 100mmクイックリリースプレート キャリーバッグ (CB-52パノラマヘッド)
メーカー違いの代替品はこちらですね。
そもそもジンバル雲台って何をする道具なのというと、
三脚に固定しつつ、望遠レンズで飛行機とか鳥とか動きものを狙う目的なんですね。
縦横回転のネジを緩めます。デパートの屋上にある双眼鏡みたいな動きです。
X軸Y軸の調整はカメラを下向きにして、
モニターで中心を確認します。
あとは
このように上向き下向きにセットして、水平回転させるだけ。
水平回転と同じく回転角はおおよそ横位置で20°、縦位置で15°間隔くらいです。これも家でテストして確認した方がベター。
上の画像を見てもらうと分かりますが、ノーダルポイントがずれないのが3way雲台と違うところ。ここにこの商品の価値があります。
ジンバル雲台は縦のパノラマも可能
そして垂直回転でもノーダルポイントがずれないということは・・・縦のパノラマが可能ということです!ほとんどこれ目的でジンバル雲台を買いました。
海外フォトグラファーのような写真が撮りたいあなたにこっそり教えるパノラマ撮影のススメ | カメラと三脚とアルカスイスと ときどきMac
↑の記事を見るといつもやってみたくなります。
縦パノラマのメリットは広角レンズの歪みを逆に利用して、普通に撮るよりも前景に迫力を出せることです。
過去画像から。まだ手持ちでのテストしかしてませんが、イメージはこんな感じです。これから縦パノラマは積極的に挑戦したいです!!
おまけ:画像上下に黒帯をつける方法
簡易的なパノラマ撮影なら昔から試してましたが、はてなブログにUPする際、flickr経由で載せるとパノラマ画像の表示がバグる現象が起こります。
いつまでたっても直らない。そこで画像に黒帯をつけちゃえばいいと考えました。
adobe photoshopでの方法です。あんまりフォトショは詳しくないですが、
↑この記事を参考にしたらできちゃいました。
ブログ目的じゃなくても見た目的にもかっこいいのでご紹介します。
photoshopで画像を開きます。
右下のテーブル:レイヤーで画像が背景扱いになっています。
右クリック(2本指クリック)で背景からレイヤーへを選択。
画像がレイヤー0になりました。
上部タブ:レイヤーから、
→新規塗りつぶしレイヤー→ベタ塗りを選択。
色は黒を指定。
左アイコン群より切り抜きツールを選択。
枠の左右端を拡大させて画像の両端に合わせる。この時、左上で縦横比を指定できます。
こんな感じです。この状態でenter(return)を押すと、
指定した縦横比の塗りつぶしレイヤーとなりました。
あとはレイヤータブで画像のレイヤーと塗りつぶしレイヤーの順番を入れ替えるだけ。
書き出しして完了。簡単です!
flickr経由ではてなブログにあげても表示がバグりません。困ってる方がいれば是非試してみてください。
以上、パノラマ撮影の基礎と応用でした。
この分野は素人では開拓している人があまりいないので面白いです。
道具さえ揃えれば簡単ですしね。
それでは!