こんにちは、まるしかです。
星を点で写すための道具・赤道儀の中でも、コンパクトサイズなのがポラリエ。
最近ポラリエUというバージョンアップ版が発売されました。
が、値段が倍ですので、まずはこっちで様子見。
記事の最初にポラリエとポラリエUの違いをまとめていますのでご一読を。
さて、わたしは広角レンズで星景写真を撮るのが好きですが、星の流れに困っていたのでついにポラリエを導入しました!
結果的には買っておいて良かった、というよりもっと早くポタ赤を使うべきだったなと感じています😅
2011年からある商品ですが、使い方や効果のほどが詳細に書いてある記事が少ないため、レポートします。
それと、合わせて使って欲しいオプション品がいくつかあります。
「あれ買えば良かった」と追加で買う二度手間をなくすためにも、ポラリエを買う前に読んでおいて下さいませ🤗
まずはポラリエとポラリエUの違い
違いのなかで注目すべき点は、
- 20%以上の軽量化(740→575g)と積載重量(2.0→2.5kg)のアップ
- スマホで設定変更が可能
- カメラと連動したシュートムーブシュート(SMS)機能(タイムラプス用途)
- タイムラプス用水準器&方位目盛
このように軽量化も大きな要素ですが、一番は、
- タイムラプス撮影に向いた機能の充実
タイムラプスをするかどうかが購入の分かれ目だと思われます。
外観
カメラっぽいデザインです。コンパクトさだけでなく、このフォルムも人気の大きな理由です。
結構ずっしりしてます。
公式HPには重さわずか740gと書いてありました。わずか!?って思いましたけど、赤道儀は基本的にデカオモらしく、このサイズと重量は今だに画期的なアイテムだそうです。
底のネジ穴を三脚の雲台に取り付けます。
電源は単三電池2本で、2時間動く仕様です。USB(type B)給電も可能ですから、モバイルバッテリーもOKです。
赤道儀の仕組み
星の日周運動とは、北極星を通る南北の軸(極軸)上で、上の写真のように時計回りに回転するものです。
※厳密には、北極星は極軸からほんのわずかにずれているようです。
星の光はかなり弱いため、シャッタースピードを数十秒に設定する必要があります。30秒くらいに設定すると、星がぶれて写ってしまうのが厄介なんです。
それを逆手にとって、わざと星を線で写す技術もありますが、今回はピタッと星を点で写したい。
再び製品外観。
真ん中の円盤にカメラを取り付けて撮影します。
こんな感じで。
その際、円盤の中心を北極星に向けてあげれば、円盤に合わせてカメラが星の回転速度と同じ速さ(星追尾モード)でじわじわと回転し、結果、星が点で写る。
これが赤道儀の仕組みです。
ポラリエの効果・作例
星追尾モードと星景モード
ポラリエの使い方の前に、どれくらい効くのか作例で説明します。
- 赤道儀なし(固定撮影)
iso800, 20mm, F2.8, 30秒
高感度ノイズを少なくするために、できれば30秒程度の露出が好ましいです。
通常の固定撮影での写真は、ブログサイズだとぱっと見、点に写っていますが拡大してみますと、
このように若干流れているのがわかるかと思います。
焦点距離が24,28mm・・・と広角から望遠になるにつれて、星が点に写るシャッタースピードは短くなる傾向があります。
500秒ルールが有名ですね。20mmだと、500÷20=25秒がしきい値。25秒を超えると星がぶれる。
では、ポラリエを使ってみます。
iso800, 21mm, F2.8, 30秒(ポラリエ 星追尾モード)
どの星もビタッとまん丸になってるのが大きな違いです。
なんとなく気持ちいいですよねー!
ちなみにオリオン座下部にある縦並び3つの小さな星の真ん中がぼやけてますが、これは有名なオリオン大星雲(M42)です。
ただし、星の動きに合わせてカメラが回転しますから、当然のことながら景色も回転します。
左:固定撮影、右:星追尾モード
ソフトフィルターを使っているため、元々ふんわりした解像度ですが、右のほうがさらにぼやけていることがわかるでしょうか?
この欠点の妥協案が星景モードです。星の回転の1/2のスピードでポラリエが動きます。
iso800, 21mm, F2.8, 30秒(ポラリエ 星景モード)
3つのモードを比較
3つのモードで撮影した写真のうち、星の形、地上の景色の箇所を比較してみました。
- 星の形
- 地上の景色
星追尾モードで2分の露光にチャレンジ
星追尾モードは理論的には何分、何時間経っても星が点になり続けるはずです。
厳密には極軸のずれがどうしても出てきますので、極軸望遠鏡を使わない簡易的な合わせ方だと1~2分が限度でしょう。しかし星景写真では十分すぎるほどです。
2分の露光ってどんな感じなんだろうとやってみました。
iso1600, 17mm, F2.8, 30秒(固定撮影)
iso100, 17mm, F2.8, 120秒(ポラリエ 星追尾モード)
若干霞がないかなーという違いです。景色は当然暴れてますね。
景色を入れるとなると、数分の露出はあまりメリットがありません。
結論:30秒露光で星景モードで撮る
これが風景を含めた星空を撮るにはベストな条件です。わたしもこの条件で固定しちゃってます。
これで思った通りに撮れなければ、場所や気象条件が悪いです。
写真を組み合わせればパノラマ(天の川アーチ)も撮れる
iso1600, 20mm, F2.8, 30秒(ポラリエ 星追尾モード使用。8枚の写真をLightroomにてパノラマ合成)
恐ろしく晴れた日に天の川アーチを試したくやってみました!
本来は15秒くらいの固定撮影で短時間で済ませると、パノラマ合成に成功しやすいですが、光害の少ない真っ暗な場所に限られます。
試しにポラリエをつかって30秒星景モードで撮った写真をつなぎ合わせてみました。
ポラリエ上の自由雲台の上に3way雲台を使用。合計3つの雲台を使う仰々しい装備となりますが、仕方ない・・・
本当は天の川の濃い部分(射手座と蠍座の間)も撮ったのですが、合成に失敗。しかし他のところはうまく合成でき、半分以上のアーチを作れました!
ポラリエの使い方と、あった方がいいオプション品
極軸合わせとポーラーメーター
まずは雲台付き三脚にセット。雲台は回転ボールヘッドの自由雲台ではなく、3軸に微調整できる2wayもしくは3way雲台が絶対いいです!
というのも、さっき書いた、北極星を通る南北の軸に合わせるには、傾きが大事だからです。微調整ができる2wayや3way雲台が圧倒的に使いやすい。
この軸(極軸)ですが、真面目に合わせるなら、
傾けつつ、ポラリエの角っちょにある穴から北極星が見えればOK・・・なのが本来の極軸合わせなのですが、結構大変です。
北斗七星とカシオペア座の間が目安とはいえ、撮りたい構図にセットしたら景色が邪魔して北極星が見えない状況もあります。
望遠レンズを使って星雲を捉える星野写真を撮られる方は、厳密な極軸合わせが必要です(穴の代わりに極軸望遠鏡というオプションが必須)。
しかし、風景と一緒に広角〜超広角レンズで撮る星景写真では、だいたいでも十分の効果があります。
つまり、北向きである角度ならそれで極軸合わせが済んでしまうのです。わたしは楽したいから、あらかじめセットしておきます。
各地方で必要な角度は異なり、関東南部であれば35°です(他の地域はポラリエの説明書を読んでください)。
一応、ポラリエ本体には角度計とコンパスがついてますが・・・非常にみづらいし使いづらい。
はい、ポーラーメーター!
傾斜計という名前ですが、要は角度が変えられるコンパスです。
- ポーラーメーターの使い方
各地域ごとの角度にセットして、
ポラリエの向きを北に合わせる。コンパスの脇にくっついている水平泡が赤いサークル内に入ってれば設定角度になってます。
これで極軸合わせがOK。とってもみやすいので、ポーラーメーターはあった方がいいオプションです。
実際amazonではポーラーメーターセットなるものがありますからね。
使い方説明の最後は、撮影モードについてです。
- 電球マーク・・・ライトが点灯する。
- 1/2・・・星景モード。星の日周運動の1/2の速さで回転する。
- ⭐️マーク・・・星追尾モード。星の日周運動と同じ速度で回転する。
- ☀️マーク・・・太陽追尾モード。太陽の動きに合わせて回転。日中の長時間露光に役立つ。
- 🌙マーク・・・月追尾モード。月の動きに合わせて回転。月を入れた星景撮影に役立つ。
基本、1/2か⭐️マークに合わせて使います。合わせると文字盤が光るため、今どのモードなのか、暗いところでもわかりやすくてGOODです。
自由雲台
三脚とポラリエをつなぐ雲台とは別に、ポラリエとカメラをつなぐ雲台が別途必要になってきます。
つまり雲台は2個必須!
ここ重要です。
ポラリエは北向き固定ですが、カメラは撮りたい方角に合わせます。
その際、3way雲台だとレバーが邪魔になったりするので、カメラに接続する方は自由雲台がよろしいです。
わたしは、
↑SIRUIの自由雲台K-10Xを使っています。
カメラ+レンズで1kg未満の場合は、ベルボンの2000円くらいの安い自由雲台で十分機能します。ものは記事の最後でご紹介。
できれば欲しい、ポラリエ専用の極軸微動雲台
ポラリエの上に積載できる重量のMAXは、カメラ・雲台含めて2.0kgです。
わたしの装備はフルサイズミラーレス一眼とはいえ、
- L型プレートを取り付けたα7Ⅲ
- レンズはマウントアダプターMC-11経由でTamron SP 15-30mm F2.8 G2
- kaniの光害カット角形フィルター+ハーフNDフィルターを装着して
なんて無茶苦茶な使い方をしてます😅
積載重量はおそらく6kgぐらいになるんじゃないかな・・・マルチ雲台ベースセットで6.5kgまで対応可能だそうです。ただ高いしデカい・・・
それでいちど極軸合わせの時にポラリエの底に取り付けたプレートが回転して、危うくレンズが逝きかけました(地面が草むらで良かった。。。)
それからはポラリエ専用の2way雲台を買って使用しています。今のところ全く問題ありません。
ポラリエと接続する箇所がカップになっていて、ポラリエのカーブにジャストフィット!
パン棒がないため三脚と干渉する事がありません。
1万円ちょっとと高価ですが、もし積載重量が2kg以上になりそうでしたら、検討してみてください。(ただしマルチ雲台ベースセットなしの2kg以上は自己責任で)
それと、レンズが重いようでしたら、スライドプレートの導入もお勧めします。
写真の長さ100mmは短くて、MENGSの長さ140mmを買い足しました。
L型プレートと組み合わせれば、このようにバランスを取ってくれて、転倒を回避できます。
転倒さえ気をつければ、ポラリエの馬力は結構すごいです。
その他あった方がいい道具
ポラリエに直接関係しませんが、星景写真を撮る上であった方がいい道具がいくつかあります。
レンズヒーター+モバイルバッテリー・・・星を撮るなら必須。予想以上に夜露の曇りによる影響は大きいですからね。
レリーズ・・・30秒以上撮るならバルブモードになります。レリーズで時間カウントをしなければいけませんからレリーズはあった方がいいです。
サンドバッグ・・・強風時重しを置いて三脚の安定化。いつもはモバイルバッテリーとレリーズ置きとして。ケーブルがぶらぶらしてるのは思わぬアクシデントを引き起こしかねませんし、地面や草むらが濡れていると汚れますから。
詳しくはこちらで。
最後に
等倍だと星が線になって写ってて、がっかりしたことが多々ありましたが、導入したら安心して星が撮れるようになりました🤗
一応、高iso、SSをあげて数枚撮影し、ソフトで合成することでノイズ除去し星を点にする方法もあります。
ただこれは荷物を減らしたい旅先での手段ですね。やはり一発撮りにはかないません。
星を綺麗に撮るなら赤道儀はできれば欲しい。コンパクトなポラリエはユーザーも多いしおすすめですよ。
それでは!
紹介した商品をだーっと並べます。
- カメラ+レンズで1kg未満なら安い自由雲台で十分
- 下の商品は必要なもの全部のせな欲張りセットです。