こんにちは、maru-shikakuです。
広角レンズはSamyang 14mm F2.8一本でしばらく星撮りとかをやってました。
が、本格的に風景写真をやりたいと思い、性能の高い広角ズームレンズを探すことに。
以前候補だったタムロンのSP15-30mmが安いしいいかなーと考えていたら、新型のSP 15-30mm F2.8 Di VC USD G2 (Model 041) が気になって気になって、、、買っちゃいました!
名前長いっすね。。。以後SP 15-30mm F2.8 G2と略します。
わたしはソニーのα7Ⅲを使用しているため、キヤノン用のこのレンズをシグマのMC-11アダプターを介して装着しています。
つまりソニー機でのレビューになっちゃいますが、キヤノン、ニコンの一眼レフをお使いの方にも全然参考になるはずです。
このレンズ、結果的には期待以上の超高解像度で、さすがタムロンさんのSPシリーズは伊達じゃないなと、かなり満足!
今年の6月から使用してきてぼちぼち写真が溜まってきたのを機にレビューします。
あと色々知りたいと思うであろうトピックスを網羅しました。目次をご覧ください。
- 外観
- 撮れた写真の解像度がすごすぎ・・・
- ゴーストは太陽を真ん中にすればかなり抑えられる
- 歪曲がほぼゼロ
- 手ぶれ補正の効果
- 星空撮影で気になるコマ収差の確認
- 15mmから30mmという焦点距離の話
- 他のF2.8広角ズームレンズと比較して
- 最後に。広角ズームで風景撮るの楽しい
外観
MC-11を介しているせいも多少ありますが、かなりのゴン太レンズです。
また重量が1.11kgとほぼダンベルですね。鍛えられます。
まあ、ほぼ三脚に付けて使用するでしょうし、サイズと重量はそこまで気にしませんが、トラベルや登山ではそこだけネックです。
鏡筒の特徴としては、
- インナーズームなので操作時の変形はありません。
- 可動部は簡易防滴構造で水辺の撮影も安心。
- Tamron TAP-in Concole(別売り)に対応。ファームウェアアップデートや AFのピンずれ修正などを行えます。
あと前玉は当然のことならが出目金で、被せ式のレンズキャップが付いてます。
前作の外観をネットで見てると、G2はスタイリッシュでかっこいいなという印象です。
特に物理ボタンのところ、
左が手ぶれ補正VC (Vibration Compensation) のON ・OFF。
4.5段分の効果があるそう。あとで実際のところを説明します。
右がオート/マニュアルフォーカス切り替えスイッチです。
シグマのMC-11経由であれば、高速なAFがソニーαでも可能です。
AF-Aは選択できませんが、AF-Cは可能です。
さすが最新のレンズだけありますね。
普段はどっちもONで手持ち撮影、風景撮影時はどっちもOFFして三脚に切り替えるわけですが、物理ボタンがあるだけで撮影時の操作性がかなり違うのでありがたいですね。
焦点距離は15, 18, 20, 24, 28mmのメモリ。
距離指標は0.28mが最短で、0.35, 0.5, 1, 無限大と続きます。
ここでSP15-30mmの旧型にないコーティングの説明文を。
従来のマルチコーティングはコーティングを均一にすることが難しく、レンズ周辺部にゴーストが発生することがありました。今回新たに開発したAX(Anti-reflection eXpand)コーティングは、タムロン独自の蒸着技術によって完成した画期的なコートで、レンズの曲率が高い凸面であっても均一にコーティングすることができるため、周辺部分の反射率と色味が、中心部と同等のレベルとなっています。光源が画面内に入りやすい広角レンズでも有害なゴーストを排除し、クリアで抜けの良い、圧倒的な写りを実現。撮影者が意図した作品作りを可能にします。
出典:https://www.tamron.jp/product/lenses/a041.html
最近のレンズは逆光時でもいかに抜けの良いレンズを作るかを重要視しています。
解決策がコーティングです。ここ20年のレンズ開発の歴史では、コーティングの改良による進歩が大部分を占めています。
以前PENTAXがコーティングを変えただけのリニューアルをしてその価格差が問題視されましたが、全然性能が違うという力説ページがあります。
参考:https://www.facebook.com/ricohimaging.jp/posts/1983415435089475
SP15-30mmでもコーティングが改良されていて、前玉周辺部のコーティングが最適化されました。
↑確かに周辺の反射が少ない?
あと、さらに防汚コートの耐摩耗性が向上したそうです。
フィルター無しでの水辺の撮影時は頻繁に前玉を拭くのでありがたい機能です。
機能説明の最後は、リアフィルター入れ!
キヤノンEFマウント用のみの仕様で、後ろ玉にソフトフィルターを入れる構造となってます。
まさに星景写真を撮るための仕様ですね!!わたしにとって購入の決定打でした。
こんな感じでLEEソフトフィルターを差し込めます。
撮れた写真の解像度がすごすぎ・・・
F2.8の明るいレンズですが、絞り開放は星景写真用です。
風景写真は基本絞って使います。解像度としてはF11-13あたりでMAX、F16-22では回折現象でややモヤっとする一般的な傾向です。
F11で撮る風景写真が中心はもちろん隅までくっきり写っててやみつきです!!
このレンズがこのお値段で買えることが素直にすごい。さすがツァイスのBatisシリーズを作ってるタムロンさんですね。
この写真はα7Ⅲにこのレンズを装着し、焦点距離15mm、F11の絞りで、ピントの違う2枚の写真を被写界深度合成したものです。
この構図はかなり欲張っちゃってます。
ワイド端で画面ギリギリまで被写体を入れている上に、前景は30cm先の超近距離に岩を入れています。
1枚だとどうしてもF22まで絞らないと、画面全域でピントが合わなくなります。ただし前景の苔や遠景の滝しぶきの辺りがモヤっとしてしまいます。
被写界深度合成は手間がかかりますが、その分、解像度MAXの絞りでピントが画面全域で合うという最高の条件になってます。
等倍切り出し画像を何枚か載せます。
ゴーストは太陽を真ん中にすればかなり抑えられる
F5.6。この角度ではゴーストが避けられないのはどうしようもないです。
F11まで絞ると派手に出ます。これはこれで味がありますが、基本は太陽を中心にそえればかなり抑えられます。
この写真を投稿してコメントを頂いてから気づいたのですが、フィルターを2枚重ね付けした写真でこの通り。
フィルターの質が高いのが良かったのもありますが、2枚のフィルターと前玉で層間反射しやすい厳しい条件です。
これはこのレンズのコーティングの良さが活きたのではないかと。
歪曲がほぼゼロ
直上の写真は15mmで撮ってます。普通水平線を真ん中より上に持っていくと、歪曲してへの字に歪みます。
Samyang 14mm F2.8で撮影していた時はひどい陣笠収差で、これは風景には使えないなーと感じていました。
それがSP15-30mm F2.8 G2は軽い樽型収差で済んでます。気になるならLightroomで歪みを補正すればOKです。
歪曲収差の種類やLightroomでの補正方法の参考記事
手ぶれ補正の効果
15mm, F5.6, 1/6秒, iso100
等倍切り出し
手ぶれ補正の効果については当然撮り方にもよります。
静かにシャッターを切った場合、私のベストでは1/6秒のスローシャッターでもいけました。
安全を見れば、1/30秒くらいで大丈夫そうです。
30mm, F5.6, 1/30秒, iso400
ボケはどうですかね・・・星撮り以外で開放で撮る目的がなく評価対象外です。
こちらの写真はF5.6ですが、それなりに自然に見えます。
絞り羽根は9枚の円形絞りなので、玉ボケも問題なさそう。
等倍切り出し
星空撮影で気になるコマ収差の確認
15mm, F2.8, 20秒, iso1600, LEEソフトフィルターNo.3使用
画面の四隅や周辺で星が点ではなく、楕円だったり伸びた三角形のような形になるコマ収差。
星景写真に使うレンズの優秀さを測る指標だったりします。
上の写真ではLightroomのレンズ補正を用いてるため、補正前の画像で収差の確認をします。
番号のところで等倍切り出しをしてみます。
どうでしょうか?
②がちょっとだけ収差の影響でおにぎり型の星が見られますが、変形はかなり小さいです。
15mmから30mmという焦点距離の話
次にこのレンズの焦点距離15から30mmという範囲について個人的見解です。
30mmは広角の終点
わたし的には、スマホで採用されている28mmまでが広角レンズだと思っています。30mmは準広角に片足を突っ込んでるような状態で、ギリギリ広角の終点かなと。
次の35mmは完全に準広角ですね。この焦点距離は単焦点レンズでかなりの銘玉が揃ってます。ソニーFEではFE35mm F1.8とかですね。
ちょっと長くなればBatis40とか。めちゃくちゃお気に入りのレンズ。
で、35mmはスナップ用途なんですよね。性能と同じくらい、使いやすさと軽量が重視されている焦点距離です。
だから、描写重視の重たい広角ズームレンズに35mmまで求めてないんですよ。というのが自論です。
そりゃあるに越したことはないですが、そのせいで価格が跳ね上がったり、重くなったりするならいりません。
15mmという画角は欲しかったし、角型フィルターを使う上で最適
撮影は15mmを使うのがメインです。
ものがギリギリ全部収まる画角というか。使えば使うほどやっぱ15mmまで必要だよなと思う場面ばかりです。
それと角型フィルターについて。
Samyang 14mm F2.8を使ってから角型フィルターを導入し始めました。
150mm幅のガラスを使ってて、SP 15-30mm F2.8 G2でも同じものが使えるということで移行。
大きな違いは、ケラれがないということですね。
この記事で確認されたケラれが、さっきの星景写真では全く見られません。
焦点距離14mmの最適な角型フィルター幅は170mmなのかもしれません。
ただ、そのサイズのガラスはまだまだラインナップに乏しい。
そう考えるとワイド端15mmが最適なのかなと思います。
保険のため持っていける時はSamyang 14mm F2.8を同時持ちで。
ほんとはSigma 14mm F1.8に切り替えたいが高すぎ・・・
他のF2.8広角ズームレンズと比較して
Sony FE 16-35mm F2.8 GM
まずは純正GMを。
見送ったのは値段に尽きます。そりゃGM買えるならGMにします。
16mmは星を撮るには狭いでしょうか。
Tamron SP 15-30mm F2.8 旧型
SP 15-30mm F2.8 G2の最大のライバルじゃないでしょうか笑。
海外の有名なレビューサイト・ダスティンアボットさんによると、レンズを撮り比べして、
- 周辺の画質向上(特に絞った時)
- ゴーストの軽減
https://dustinabbott.net/2018/11/tamron-sp-15-30mm-f2-8-vc-g2-a041-review/
が目に見えてわかる違いだそうです。
確かにゴーストは広角にしては抑えられている方ですし、画質の均一さについては驚くばかりです。
あとは値段ですね。今はネットだと中古のみの取り扱い(amazonなら新品あり)ですが8万円台半ば。
かなりの安さです。上の改良点と釣り合うかどうか、わたしもちょっと悩みました。
結局、風景や星景をちゃんとやりたいから、ちょっとでもいい方を選ぼうと決めました。
Tamron 17-28mm F2.8
タムロンのソニーミラーレス用専用設計でつい最近広角ズームを出してきました。
420gとめちゃくちゃ軽い!これでF2.8通しは驚異的な軽さです。
描写もGMレンズと遜色ないとのことで、これで10万円台は驚異的(2回目)。
ただ17mmはね。やっぱ狭いのです。特に星撮りには物足りない。
このレンズはどちらかというと旅行、登山、スナップ用途に使える広角ズームレンズとして決定的じゃないでしょうか!!
つまり別枠です。つまり欲しいです。
Sigma 14-24mm F2.8 ソニーEマウント用
正直こっちも相当気になってました。ミラーレス設計は700gとそこそこ軽くなってますし。
ただ、SP 15-30mm F2.8 G2と似たようなスペックで、レンズ内手ぶれ補正はなし、14mmはSamyangのにかぶるし、角型フィルターはケラれるだろうし、ということでタムロンを選びました。
14mmで新しく買うなら同じシグマの単焦点です。
F1.8で撮る星景写真はロマンです。
170mm幅の角型フィルターが充実したら考えてもいいですね。
最後に。広角ズームで風景撮るの楽しい
これに尽きます。さらに描写に優れたレンズというのもまたいい。
こいつを買うためにα7Ⅱからα7RⅢではなくα7Ⅲに妥協したのです。
妥協した甲斐がありました。 やっぱ風景は広角ズームですね。特に超広角域は意外と使えます。
レンズ角度や前景との距離などシビアにならざるを得ないため難易度は高いですが、超広角域を使いこなせるようになりたいです。このレンズで克服します。
それでは!