まるしか Photo & Art Blog

一眼撮影と美術展感想がメインテーマの、ちょっと突っ込んでみたブログです。

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ラファエル前派の軌跡展の感想@三菱一号館美術館

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こんにちは、maru-shikakuです。

 

印象派が絵画の歴史に絶大なインパクトを与えるほんの数十年前、イギリスを中心にラファエル前派という芸術運動があったこと、知ってました?

 

わたしは知りませんでした。そもそもイギリス絵画は、有名な風景画家ターナーさんの他はほとんど誰も知らない^^;;  あとはゲインズボローぐらいか。

 

そんな人が多いのでは?

 

依然として印象派が圧倒的に有名な中、東京駅近くの三菱一号館美術館で、ラファエル前派の軌跡展が開催されています。

 

実は4/23から始まる『クリムト展』(東京都美術館)や、

klimt2019.jp

 

4/24から始まる『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』展(国立新美術館)

artexhibition.jp

 

で取り扱われる象徴主義の前身が、ラファエル前派なのです!

つまり上の2つの展示の予習になるんです!

 

・・・という情報を後から知りました。単純に、

 

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ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ『魔性のビーナス』ラッセル=コーツ美術館蔵 会場にて撮影

この絵の配色、いいな。くらいの気持ちで行きました(^^;;

むしろ、何も考えずそれくらいの気持ちで行くと楽しめます。

 

ラファエル前派というのは配色が最大の特徴だと思いますので。

 

それと上の写真もそうですが、撮影OKの部屋があります!

これが美術展のスタンダードになればいいな。

 

それでは、感想に移ります。

 

 

概要 

会期:2019年3月14日(木)~6月9日(日)

 

開館時間:10:00〜18:00

※入館は閉館の30分前まで(祝日を除く金曜、第2水曜、6月3日~7日は21:00まで)

 

4月27日(土)~5月6日(月・祝)は、10:00〜18:00まで開館します。※最終入館は17:30まで※5月3日(金・祝)の開館時間は18:00までです。ご注意ください。

 

4月6日(土)は、開館9周年のため、21:00まで開館します。※詳しくはこちらをご覧ください。

 

休館日:月曜日(但し、4月29日、5月6日、6月3日と、トークフリーデーの3月25日、5月27日は開館)

トークフリーデーは声の大きさを気にせず鑑賞できる日です。詳しくはこちら

 出典:https://mimt.jp/ppr/outline.html

 

混雑具合 

3/31(日) 14:00頃に鑑賞しました。ラファエル前派の知名度のせいか、お客さんはぼちぼちといったところ。ゆったり回れますし、撮影ルームも待ちがなく撮影できます。

ただし、大型連休あたりは混雑に注意です。

 

撮影できるところ

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なんども書いている通り、撮影ルームの中のみ撮影ができます。

それと展示終盤にもボックス型の記念撮影ブースがあります。

 

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背景のレンガが映えますよね。絵の雰囲気に合います。

 

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ちなみにホームズからの挑戦状という謎解きが館内にいくつか設置されてます。この写真はその一部。

絵画鑑賞しながらクイズを解くのもいいですね。

 

感想

間違いなくきっかけはターナー 

展示の始まりに子供向けのチラシ・ジュニアブックレットが置いてあります。こういうのは子供大人関係なく、めちゃくちゃわかりやすく解説してあるので、必ずもらっておきましょう。

 

 

ラファエル前派というのは大きな運動とはならなかったんです。小規模な同盟で長くは続きませんでした。

 

以下、説明しますと・・・

長年美術界はラファエロ(ラファエルは英語読み)を最高の画家としてきました。

 

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ラファエロ・サンティ『ベルヴェデーレの聖母』美術史美術館(ウィーン)蔵 wikipediaより

この絵で有名ですね。

しかし、調和のとれた画風がもう退屈だし、時代遅れなんじゃないの?という不満を持った3人の画家ハント、ロセッティ、ミレイが立ち上がり同盟を組みました。

 

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ジュニアブックレットを撮影 

ここで重要なのがパトロンです。お金がなくちゃ絵が描けません。お金は超大事です。

※ゴッホだって、貧乏画家と言われてますけど、道具代を除けば普通に生活できる額を弟から仕送りしてもらってるんです。贅沢に絵の具を使う画風でなおさらコストがかさんだのも不幸でした。とにかく絵画はお金がかかります。

 

それが美術史家のジョン・ラスキンというお方。

美術評論家として名を上げた方で、文学的影響力も大きく、wikiによるとトルストイ、夏目漱石、プルースト、ガンディーに影響を与えたという。

 

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ラスキンは1858年から、ある裕福なアイルランド人家庭の子供たちに美術を教えていたが、その中のひとり、9歳のローズに魅了される。ローズが18歳まで家庭教師を続けたが、彼女が16歳になると、何度も結婚を申し込んだ。しかし、宗教が違うことを理由に断られる。1875年にローズが27歳で急死したことが伝えられると、ラスキンは精神的に強いダメージを受け、しばしば発作に見舞われるようになった。亡くなったローズと会話するために、スピリチュアリズムの研究も始めた。

 wikipediaより

なかなか濃ゆいエピソードをお持ちです。

 

ラスキンはターナー大好きな資産家です。「自然に忠実たれ」と言いながら自然を抽象的に表現したターナーが好きという矛盾。

 

ラスキンにとっての忠実とは、そのままを描くのではなく本質を掴むという意味なのかもしれませんね。

 

本展もテーマから外れますが、ターナーの絵が数点、展示されています。

 

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特にこの絵は傑作でした。この絵をみるだけに来てもいいくらいです。

 

夕日が沈みかける砂浜と海を描いた絵なんですが、砂浜と海の境界がない。

相変わらず色が綺麗すぎますね。それだけでずっと見てられます。

画像では分かりにくいかもしれないんで、やっぱり実物を見るべきです。

 

逆に夕日と空の色の境界ははっきりしてます。

夕日の色の形を見ると逆三角形です。沈む動きを表現しているのかなと思うと、とても面白い絵です。

 

さて、そんなターナーが好きな方が応援するのだから、やっぱり今までにない絵画を描く人たちですよね。

 

ロセッティ、ミレイの配色がいい  

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再びロセッティの『魔性のビーナス』。アレクサ・ワイルディングという方がモデルだそうです。

ちなみに会場の最後で展示品の選挙をやってます。この作品は第2位。1位は後ほど説明しますね。

 

この作品をぱっとみて目を引くのが、赤と緑のコントラスト。これがロセッティの特徴です。

そしてかなり鮮やか。色のコントラストと高彩度がラファエロとは違うところ。

 

どっちかというと赤が彼の好みっぽいです。

 

もう少し作品を見ましょう。

 

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ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ『窓辺の女性』マンチェスター大学ホイットワース美術館蔵 会場にて撮影

 

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ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ『夜が明けて』タリー・ハウス美術館蔵 会場にて撮影

どちらの作品もロセッティの恋人ジェイン・モリスがモデル。独特の眼差しに惚れ込んだそうです。確かに引き寄せられる。 

 

お次はミレイ。ラスキンさんの奥さんをゲットしてしまった方です。

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ジョン・エヴァレット・ミレイ『オフィーリア』テート・ブリテン蔵 wikipediaより

この絵は超がつくほど有名。残念ながら来てません。

一度でいいから生で見たい絵の一つです。

ロセッティの赤に対して、ミレイは緑の表現がずば抜けてます。

 

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ジョン・エヴァレット・ミレイ『結婚通知ー捨てられて』個人蔵 会場にて撮影

友達の結婚式の招待状がきた。私は捨てられたんだけどね。という悲しい絵。 

女性が美少女過ぎます。女の子描くのが得意な人は、どの時代でも通用する容姿で描きますよね。

 

背景のモスグリーンが控えめですが綺麗。

 

ミレイはもう少し数を見たかったですね。

 

ラファエル前派周辺の画家も侮れない 

ラファエル前派は派閥に入ってない画家へも影響力がありました。

といっても、印象派とかと違ってイメージがぼやけてるんで、これぞラファエル前派!という象徴的な作品は少なく、個々で色々解釈してます。

 

ちょっと色彩の使い方が大人しくない19世紀中頃のイギリス絵画は、大体ラファエル前派の影響を受けてるものだと思ってもらえたら正解です。

女の子が入ってたら確定。笑

 

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フレデリック・レイトン『母と子(サクランボ)』ブラックバーン美術館蔵 図録を撮影

会場選挙で第1位の作品です。白い服の女の子はやはり強い。

絨毯の濃ゆい色彩がラファエル前派的。

 

それと、後ろのツルの屏風ですが、この頃イギリスで日本装飾芸術が注目されています。これはラファエル前派にも確実に影響を与えています。詳しくは後ほど。


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ウィリアム・ダイス『アラン島の風景』アバディーン美術館蔵 図録を撮影

まるでポラロイドカメラで撮ったかのような配色。

やはり表現としての色の使い方がちょっと違う。

 

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アーサー・ヒューズ『音楽会』リヴァプール国立美術館蔵 図録を撮影

『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルが絶賛した作品。

わたしも配色が好きです。

 

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アーサー・ヒューズ『マドレーヌ』タリー・ハウス美術館蔵 図録を撮影

こちらは上の『音楽会』のデッサンをちょっと変えて作品にした絵です。 

背景のモスグリーンはこれぞラファエル前派です。

 

・・・と、ここまで見てきて考えたことがまとまりました。

 

ラファエル前派とは、補色(赤と緑限定)を効果的に表現に使い始めた運動なのかなと思います。

 

補色とは赤と緑の他に、オレンジと青が代表的ですね。反対色とも言います。

 

 

 

歴史ではこの後、印象派が現れます。

ラファエル前派は単純に使う色を絞っただけですが、印象派は陰影を補色の色彩に置き換えました。つまり影が暗い色じゃなくなったところが革命です。

(青とか緑とか後退色と言われる色)

 

印象派ほどの革命ではありませんが、歴史上の小さな転換点として、ラファエル前派は価値があったのでしょう。

 

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『日没の種蒔く人』クレラー・ミュラー美術館蔵 wikipediaより

ゴッホはオレンジ(黄色)と青を多用したことで有名ですよね。

 

最終的にデザインに落ち着く 

ラファエル前派は第二世代になると、もはや赤と緑の色だけをフォーカスして、デザインの方面に発展します。上の方で書いた、日本装飾芸術の影響を受けてます。 

 

エドワード・バーン=ジョーンズとウィリアム・モリスは会社を設立し、壁紙や椅子・ソファ等の家具の販売を始めます。そのデザインは赤と緑を基調としてます。

 

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ジュニアブックレットを撮影

装飾芸術に影響を受けたとはいえ、絵画を捨ててなぜデザインに走ったのかというと、

 

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ジュニアブックレットを撮影 

産業革命が起こり、大量生産の商品が流通し、職人の価値が問われていた頃だったからですね。芸術をより生活の一部にすることで生き残りを図ります。

それがアーツ・アンド・クラフツ運動と呼ばれるものだったんですね。 

 

 

最後に 

あまり知らなかったターナー以降のイギリス絵画の歴史を知ることができてよかったです。

 

本展はその意味で、ラファエル前派のご紹介といったダイジェスト的な展示でした。

 

特にロセッティやミレイについてはもう少し発掘しがいがありそうですね。再び特集されることを願っています。

奇想の系譜展の感想@東京都美術館

こんにちは、maru-shikakuです。

 

真面目なのかふざけてるのか、よく分からない。

 

そんな江戸時代の奇想絵画ばかりを集めた展示が現在開催中です。

 

伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、岩佐又兵衛、狩野山雪、白隠慧鶴、鈴木其一、歌川国芳

 

計8人の画家の代表作を集めた構成ですが、見どころは

 

  • 伊藤若冲。

この人のニワトリ。相変わらず細かい描写がいい

一人だけ真面目な絵しかない。後の人は大抵ふざけた絵が入ってます。笑

 

  • アニメっぽい描写の動物たち。

江戸時代絵師の描く動物はどれも可愛すぎ。

トラは猫みたいで迫力ないし、鬼はニャロメみたいだし。

 

奇想の系譜マーブルチョコパッケージ

そんなヘンテコな動物はイジられてグッズ化されてます。こちらは展示会後のミュージアムショップにて購入したマーブルチョコ。

 

奇想の系譜マーブルチョコ

真ん中のワンちゃんはTシャツにもなってます。なんか、こういう犬をどっかの漫画で見たような・・・。

 

  • 鈴木其一(きいつ)

写実的な描写の中に極端に明るい色を置く。アンバランスさはなくていい配色だなと思う。名前は知ってる程度の画家でしたが一番良かった

 

以上この3点が注目です。

いい絵だなーと感心したり、これ絶対ふざけてるでしょと突っ込んだりと、飽きさせない奇想の系譜展の感想をどうぞ。

 

 

概要

会期:2019年2月9日(土)~4月7日(日)

 

休室日:月曜日、2月12日(火)

※ただし、2月11日(月・祝)、4月1日(月)は開室

 

開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)

 

夜間開室:金曜日、3月23日(土)、30日(土)、4月6日(土)は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)

 

観覧料:

当日券 | 一般 1,600円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円


団体券 | 一般 1,400円 / 大学生・専門学校生 1,100円 / 高校生 600円 / 65歳以上 800円
※団体割引の対象は20名以上


※中学生以下は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
※いずれも証明できるものをご持参ください

 

アクセス:JR上野駅「公園口」より徒歩7分

アクセスマップ

出典:

https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_kisounokeifu.html

https://www.tobikan.jp/guide/index.html

 

混雑具合

2/10(日)午後2時ごろに行きました。

三連休だけあって、会場は混み混みでした。待ち時間はないのですが、人が多い。

 

当日チケットを買うなら、JR上野駅構内公園口近くの美術館チケット売り場で購入する方が、美術館チケット売り場に並ばなくて済むのでおすすめです。

 

わたしはいつものように後ろの方からさっさと観ました。30分くらいの所要時間でした。

 

新・北斎展とセットチケットがあります。

六本木の森アーツギャラリーにて開催中の新・北斎展も見られるチケットが売ってます。

  • チケットぴあ

https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1847648&rlsCd=003

  • イープラス

奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールドのチケット情報|e+(イープラス)

  • ローソンチケット

奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド|ローチケ[ローソンチケット] イベントチケット情報・販売・予約

 

2,800円。

別々に買うより400円お得なのでどっちも行かれる方はどうぞ。

 

感想

若冲のモノクロの迫力!

初っ端は若冲。やっぱり人気ですね。

 

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『旭日鳳凰図』宮内庁三の丸尚蔵館(チラシ撮影)展示期間:2/9-3/10

羽の一枚一枚をびっしり描く鮮やかな若冲はもちろんよかった。

 

ただ本展示の中では、82歳最晩年の作品でモノクロのニワトリが描かれたのが印象的でした(初公開)。

 

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『鶏図押絵貼屏風』個人蔵(ポスターカード撮影)

 

個人で持ってるというのがまずすごい。

詳しく見てくと、

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空に舞う尻尾がいい。

個人的に3枚目左から2番目の振り返りポーズが気に入ってます。脚の開き方が特に。

 

蕭白は絵も人生もふざけていた

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『雪山童子図』三重・継松寺(ポスターカード撮影)

曽我蕭白は、40まで絵を描きながらぷらぷらしてた、ちょっと変わった方。

作品はもっと変わってて、上のような原色バリバリの絵を描いたり、

『唐獅子図』では、落款(作者の署名)がすんごいヘッタクソな字で書かれてたりします。もっとちゃんと描いたら名作だったろうに。

 

自ら名誉を捨てるような人って、昔からいたんですね。

 

芦雪のほのぼの動物たち

奇想の系譜マーブルチョコパッケージ

再びマーブルチョコへ。

真ん中の犬は長沢芦雪の作品です。

写実的な絵が多い江戸時代で、いい意味で気の抜けた動物を描いてくれます。

猿を描けば、人間ぽい表情です。この人、漫画家で今でも通用するね。

 

山雪の梅の木はやっぱすごい

狩野山雪。

『老梅図』で有名な画家です。

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『老梅図』メトロポリタン美術館(wikipedia)

江戸絵画ではTOP3に入るくらい好きです。

ウィーンって下がったり上がったりする枝がいいんですよね。この発想はすごい。

 

本展示ではこれではないのですが、 

 

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『梅花遊禽図襖絵』京都・天球院(ポストカード撮影)

 華やかな襖絵が展示されてます。こちらの制作年は1631年、上のメトロポリタン美術館のが1647年なので、プロトタイプといったところでしょうか。

それでも圧巻。見事。

 

慧鶴のスタスタ坊主というタイトルセンスよ

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『半身達磨図』大分・萬壽寺(ポスターカード撮影)

白隠慧鶴は達磨図ですっかり有名になりましたね。

画家ではなく仏の教えを伝える手段として絵を描いていたようで、その絵は確かにポスター画。今でも十分通用するシンプルで独特の力強い線が持ち味。

 

タイトルセンスも独特で、『すたすた坊主図』という絵があったり。

語呂はかわいいけど、金をせびりに行く坊主を描いてるというのがまた一癖あり。

 

鈴木其一はいいな。もっと見てみたい

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『百鳥百獣図』米国・キャサリン&トーマス・エドソンコレクション(チラシ撮影)

この作品、遠くから見ると、青、赤、緑の原色がちょうどよく散らばってていい。

 

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『夏秋渓流図』根津美術館(wikipedia)

これなんかもどぎついほど鮮やかな色。

琳派絵師は基本彩度高い絵を描きますが、其一は群を抜いて派手。

 

そうかと思えば、穏やかな絵も。

 

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『貝図』米国・キャサリン&トーマス・エドソンコレクション(ポスターカード撮影)

 

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『藤花図』京都・細見美術館(ポスターカード撮影)

藤の花が好き。花びら一つ一つ手を抜かず、そしてスラーっと下に垂れる様子がいいですよね。

 

国芳は一度見たら忘れられない。なんでだろう

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『相馬の古内裏』個人蔵(チラシ撮影)

歌川国芳は画面いっぱいに変なものを入れたがります

それでいて構図のセンスがいいから絵になる。

 

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『みかけハこハゐが とんだいゝ人だ』(wikipedia)

「大ぜいの人が よつて たかつて とふと いゝ人をこしらへた とかく人のことハ 人にしてもらハねバ いゝ人にはならぬ(大勢の人が寄ってたかって、とうとう、いい人をこしらえた。兎角、人の事は人にしてもらわねば、いい人には成らぬ)」

wikipediaより

一見ふざけた絵に見えますが、人は人に助けられていい人になるという含蓄が表現されてます。こういうのがウケてたんですね。

 

最後に岩佐又兵衛が残ってますが、わたしにはピンとくる絵がなくて割愛。ごめんなさい。 

 

江戸絵画を知る機会にぜひ

かいつまんだ江戸絵画の紹介ってあまりなかった気がします。

西洋画好きな方も行ってみれば、日本もなかなか捨てがたいことがよくわかりますよ。

 

知らない人や作品が知れてよかったし、もっと作品が見たくなります。

国立新美術館あたりで、江戸絵画の決定版的な展示会やらないかなー。

 

会場が離れてるのでいっぺんに回るのは大変だけど、北斎展も見に行きましょう。

 

www.maru-shikaku.net

 

奇想の系譜展が気に入ったなら、きっとこっちも満足するはず。 

新・北斎展の感想@森アーツセンターギャラリー

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こんにちは、maru-shikakuです。

 

2019年冬の美術展は、新・北斎展で決まりです。

というのも、北斎の全生涯の作品を取り上げた過去最大の大回顧展だからです!

 

これは前代未聞ですよー。

超有名な『神奈川沖浪裏』を始めとする富嶽三十六景なんて、

たった3年間で生み出された作品ですからね。

準備期間はもっと長いけど。

 

北斎の画業人生は70年。あと67年分の膨大な作品がある。

 

本展示は約480点あるそうです。めちゃくちゃ多い。

さらに東京ではこの展示が最後のチャンスの作品も多い。

 

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新・北斎展チラシより(撮影)

 

北斎は一生のうちに5回の改名をしました。それと93回の引越し。

北斎という名はそのうちの一つに過ぎなくて、

 

  • 春朗 → 宗理 → 葛飾北斎 → 泰斗 → 為一(いいつ) → 画狂老人卍

 

こんな感じで名前を変えてます。最後なんだこれ。笑

 

改名をするたびに画風が少しずつ変わってます。

この展示会の副題が「HOKUSAI UPDATED」

「進化する北斎」という感じでしょうか。

 

どう変化したのか?を考えながら鑑賞すると楽しいですよ!

それでは概要の後に感想をどうぞ!

 

 

開催概要

公式HPより

会期:2019年1月17日(木)〜3月24日(日)

※会期中展示替えがあります。

 

休館日:1月29日(火)、2月19日(火)、2月20日(水)、3月5日(火)

 

開館時間:10:00~20:00(最終入館 19:30)

※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)

 

会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)

 

料金:

一般 1,600円

高大生 1,300円

小中学生 600円

※表示料金はすべて消費税込
※限定チケット等については展覧会ホームページをご覧ください。
※未就学児無料
※団体料金(一般1,400円、高大生1,100円、小中学生500円)は15名以上(添乗員は1名まで無料)
※障がい者手帳をお持ちの方とその介助者(1名まで)は、当日料金の半額となります。ご入館の際に、チケットカウンターにて障がい者手帳をご提示ください。特別当日券は対象外です。
※混雑時はチケットのご購入、引き換え、入場までに待ち時間が発生する場合があります。
※入館、利用に関する諸規則の遵守をお願いいたします。「ご入館にあたってのお願い」をご一読ください。

お知らせ
2018年1月31日をもって鳥居坂駐車場は廃止となります。
2018年2月1日以降、駐車場のご利用はできませんので、あらかじめご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

・東京シティビュー、森美術館への15名様以上のグループは、ご利用日の3ヵ月~前日の20:00まで、ご予約を承っております。ご予約申込書をダウンロードし、FAXにてお申し込みください。
・森アーツセンターギャラリーは、東京シティビュー 団体予約センター(03-6406-6771)までお問い合わせください。

出典:

https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/hokusai/index.html

https://art-view.roppongihills.com/jp/info/index.html#tickets

 

音声ガイドは貫地谷しおりさんと神田松之丞さん。

神田さんは存じませんでしたが、落語界で一番勢いのある講談師のようですね。

550円(税込)です。

 

アクセス

このブログでは森アーツセンターギャラリーの紹介は初めてなので、アクセス説明をします。

東京メトロ日比谷線六本木駅 1c出口から、

エスカレーターを登って六本木ヒルズに到着したら、

 

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今回現地の様子は全てiPhoneにて撮影

でかい蜘蛛のオブジェを通り抜けます。

 

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奥にあるガラス張りのドームが入り口。

 

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螺旋階段を登ればチケット売り場です。

 

上階の森美術館と間違えないでください。

北斎展と言えばわかってくれるはずです。

 

補足:作品の展示期間について

作品は会期のどの日も見られるものと、期間限定で見られるものがあります。

図録に見たことのない作品があって気づきました。

 

なのでどうしても見たい作品があるなら、公式HPで展示期間をチェックしておくといいでしょう。

一応、この記事に掲載する作品で期間限定ものがあったら、展示期間を明示しておきますね。

 

混雑具合

1月27日(日)午後2:00ごろに行きました。

日曜のこの時間、やっぱり混みますね・・・

しかも上野の美術館の感覚で行くと大間違い。

 

まず、エレベータで20分待ち、52階で降りて展示会入り口まで20分。

入るまで計40分かかりました・・・^^;

平日はそうでもないらしいですが、土日はこんな感じです。

 

公式ツイッターを見る限りでは、17:00ごろから空き始めるようです。

夜は+500円で屋上に行けば絶景のナイトビューが楽しめるので、可能なら遅めに観に行くのがbetterでしょう。

 

www.maru-shikaku.net

参考に撮影記事を置きます。この時期、防寒着はしっかり。

 

鑑賞の仕方のおすすめ:小品は諦める

この展示、サイズが小さい作品が多いです。 

そういう展示でありがちな、お客さんが列をなして進みが超遅い

混雑の原因です。

 

やっぱり一番最初の作品が一番混んでるんですけど、北斎の最初期の作品て大したことないのでわたしはすっ飛ばしました。

研究者に怒られそうな発言・・・

 

目を凝らさないといけない小さな作品はもう諦めちゃって、大きなものを集中的に観るのをおすすめします。

それでも観終わるのに1時間弱かかりました。

あとは図録を買って、本で見てください。

 

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デザインかっちょいいですよ。

展示期間限定作品も全て網羅してます。北斎好きなら図録はゲットすべし!

 

感想

画業初期から光る構図のセンス

北斎は20歳で浮世絵師としてデビューします。

20〜35歳に名乗っていた「春朗」の時代は、さっきも書いたようにあまり個性的じゃありません。

 

それでも、いいなと思う作品が一つだけありました。

 

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『鍾馗図(しょうきず)』島根県立美術館(永田コレクション)(図録撮影)

 展示期間:1月17日(木)〜1月28日(月)

 

力強い線の勢いとまっすぐに逆立てた剣がいい。

このように初期作品からも構図のセンスに光るものがあります。

 

ただ、センスが際立つようになるのは次の名前「宗理」時代の作品からです。

 

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『「風流無くてなゞくせ」遠眼鏡』リー・ダークス・コレクション(図録撮影)

展示期間:1月30日(水)〜2月18日(月) 

 

この作品は鑑賞時現物がなくて図録で見つけたものの一つです。いいと思ったら図録からでも引っ張り出して感想を書きます。笑

 

『「風流無くてなゞくせ」遠眼鏡』は、傘の切り取り方、角度が計算されて描かれてますね。

例えば、目線は傘から傘の柄(え)へ降りてきて、遠眼鏡に移るように流れを誘導しています。

 

この絵でよくわかると思いますが、北斎の絵の特徴としては、斜めの線を効果的に使って動きを出してます。

 

つい先日まで展示会が開催されていたルーベンスも、斜め線を絵に取り入れて迫力を出してましたよね。

 

www.maru-shikaku.net

 

こういう線が見えてくると絵画鑑賞は楽しいですよ!

 

体のラインの描き方も秀逸

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『あづま与五郎の残雪・伊達与作せきの小万夕照』島根県立美術館(永田コレクション)(図録撮影)

 

北斎は体のラインのS字カーブをうまく描きますね。

着物もラインを強調させる道具として使ってます。

 

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『夜鷹図』細見美術館(図録撮影。一枚目左。二枚目 拡大図)

宗理時代で好きになったのが『夜鷹図』です。

一発で気に入りました!

 

脚をクロスさせて体を弓のように反らせるポーズはなんだかギリシャ彫刻のようですね。

 

背中のストンと落ちた帯、斜めに抱えた傘がいいアクセントになってます。

 

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『酔余美人図』公益財団法人 氏家浮世絵コレクション(図録撮影)

3番目の名前・北斎時代の傑作ですね。

この絵は題材がまず好き。当然体のライン、そして色もいい。

 

北斎時代は46〜50歳頃。前の2つの時代もセンスがあったのですが、比べると技術レベルがあがってるのがわかります。

 

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『花魁図(画稿)』島根県立美術館(永田コレクション)(図録撮影)

泰斗時代の作品。これなんか、イラスト画のお手本のような作品ですね。

首を45°の角度で振り向かせる発想がすごい。

 

それにしても、なぜ体のラインが綺麗なのか?

 

北斎のエピソードでこんな文を見つけました。

北斎は「人物を書くには骨格を知らなければ真実とは成り得ない。」とし、接骨家・名倉弥次兵衛のもとに弟子入りして、接骨術や筋骨の解剖学をきわめ、やっと人体を描く本当の方法がわかったと語った。

 wikipediaより

 

接骨のプロに教わっていたとは!

絵の上達に限らず、知識の吸収も貪欲だったようです。

 

北斎漫画は大真面目です。誇張表現の理由

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左:『鳥羽絵集 身づくろい』ベルギー王立美術歴史博物館

右:『鳥羽絵集 久米仙人』 島根県立美術館(永田コレクション)(図録撮影)

左の絵がベルギーの博物館にあるのかと思うと面白いですよね。

 

北斎時代から、アニメっぽい大げさな動作を取り入れてます

泰斗時代には、「北斎漫画」という絵手本を出版しますが、これもまた大げさ。

 

顔を横にびろ〜んと広げたり、鼻息でロウソクの火を消す絵が有名ですよね。

 

※北斎漫画とは?

直弟子、孫弟子合わせて200人以上の超人気絵師となった北斎が、いちいち教えるのも面倒くさいからこれで勉強しろ、という理由で作製したのが「北斎漫画」です。

いわば、絵の教科書。

 

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『略画早指南』島根県立美術館(永田コレクション)(図録撮影)

コンパスを使ってプロポーションを取る実例を書いたページ。

他にも、「く」とか「し」、「の」などひらがなの形を崩して絵を描く方法も載ってます。

 

話を戻して、なぜ誇張表現をするのか?

 

それは、風景画に描かれるような小さいサイズでも、何をやってるのかパッと見でわかってもらうため。

 

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『富嶽三十六景 江都駿河町三井見世略圖』(wikipediaより)

※富嶽三十六景シリーズはほとんどが展示されてますが、期間限定の作品もあります。

風景画では、風景の広大さを伝えるために人間は基本的に小さく描かれます。

小さくても、どういう動きをしているのかが一目でわかるように描くのがセオリーです。

 

これはもう、日本でもヨーロッパでも一緒です。だからか北斎漫画は世界的に有名です。

 

上の絵だと小さくても荷物を下に投げ下ろしてるな、というのはすぐわかります。

腕が重ならないように位置が配慮してありますが、実際このポーズをすると右肩が上がりすぎてて不自然です。

 

でも2次元の絵としては、この格好がわかりやすいということになります。

 

そのための誇張表現、そして富嶽三十六景シリーズに生かされているんですね。

 

『江都駿河町三井見世略圖』は富士の三角形と屋根、タコ糸の角度、そしてタコの尻尾?が富士山に向かって垂れるなど、計算がすごくて形を探すだけで楽しい絵です。

 

『神奈川沖浪裏』の版画制作過程からわかったこと

富嶽三十六景といえば、やっぱりこの絵でしょう。

 

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『富嶽三十六景 神奈川沖波裏』(wikipediaより)

2月18日(月)まで日本浮世絵博物館の作品、2月21日(木)から島根県立美術館(新庄コレクション)の作品が展示されます。図録で見る限りビミョーに違います。

 

『神奈川沖波裏』の版画制作過程が展示してあり、とっても面白かったです。

まず波の青色を刷って、次に船の色、人、空と版を重ねて、色を増やしていくわけなんですが、

  • 富士山の背景にある黒いアクセントがあるとないとで全然ちがう!

ちょっと黒いのがいいことに気づきました。ピンポイントに目が富士山に行きます。

だいたい、超大時化なのに空がのほほんとしてるんですよね。

まだまだ見どころがありそうな奥深い絵です。ほんと。

 

ちなみについ最近、北斎の波の再現に成功したというニュースがありました。

“巨大波”の謎解明に近づく ー 偶然再現できた北斎『神奈川沖浪裏』がヒントに

 

完全に一致してますね!『神奈川沖浪裏』出版から200年後の今、ようやく実物を再現できるようになりました。

 

水の表現は世界一

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『富嶽三十六景 隠田の水車』島根県立美術館(新庄コレクション)(図録撮影)

こんな水の描き方ってあります?

 

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『鯉亀図』埼玉県立歴史と民俗の博物館(図録撮影)

展示期間:2月21日(木)〜

線6本と濃淡を変えるだけで、水の中を表現してしまった。

 

北斎は水の表現に関しては世界一じゃないか?と密かに思ってます。

よっぽど水面を眺めるのが好きだったんでしょうね。どれだけ観察したら水を自由自在に表現できるのか、想像できません。

 

晩年の急激な作風変化の意図は?

晩年の画狂老人卍時代になると版画の作製数はグッと減って肉筆画が急増します。

※肉筆画とは絵の具で描いた絵。浮世絵ではあるのですが、版画と区別するための呼び名です。

 

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左:『雨中の虎図』太田記念美術館

右:『雲龍図』ギメ美術館(図録撮影)

有名な『雲龍図』ほか、鬼や龍など想像上の生物を描いた作品も良かったのですが、

 

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『向日葵図』シンシナティ美術館(図録撮影)

日本初公開となる『向日葵図』が一番良かった!

 

北斎の晩年は、究極に簡素なテーマを描いた作品が多いです。

 

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『雀とはさみ図』島根県立美術館(永田コレクション)(wikipediaより)
展示終了
こういう絵を描く心理を考えてみると、もはや北斎の興味は絵に潜むバランス感しかないのかなと思いました。
 
線と色があって、画面にちょうどよく収まっていればそれでいい。
 
行き着くところまできたという印象です。
本人としてはまだまだ絵が下手だと嘆いていたそうですけどね。
 
話を戻して、『向日葵図』。
 
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普通、上向きで元気な向日葵か、枯れかけで下向きの哀愁漂う向日葵か、どっちかを描きそうなもんです。
ところがそのどちらでもなく、中途半端に傾いてます。
 
けれど、向日葵の頭の重みがちょうどいい具合に感じられませんか?
 
これよりシャキッとしてもダメだし、傾いてもダメな気がします。
ベストバランスなのが良かったですね。
 
そしてこの絵はなんだか、晩年の北斎そのものを表しているように思えます。
 
歳をとって力が抜け、自然体で絵を描けるようになりつつある心境が出てきたのかなと感じました。
 

最後に

新・北斎展は、北斎の魅力が120%あふれてます。
過去最大の大回顧展で新たな北斎の魅力を再発見できるはずなので、浮世絵の美術展に行ったことのない方もこれを機に行ってみてはどうでしょう?
 
フェルメール展の感想もどうぞ。
 
 

ムンク展の感想@東京都美術館

こんにちは、maru-shikakuです。

 

まさか100%ムンクだけで、約100点も上野にやってくるとは思いませんでした。

 

もちろん、『叫び』もやってきます!初来日!

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『叫び』オスロ市立ムンク美術館蔵 チラシを撮影

橋の上の男が、自ら叫んでいるように誤解されることも多いが、実際には、自然から発せられる幻聴に耐えかねて、耳を押さえている様子が描かれている。

wikipediaより

ということらしいですよ。 

 

ちなみにムンク美術館はムンクの故郷でもある、ノルウェーのオスロ市にあります。

地図だとこんなところ↓

 

ムンクは何回かパリ留学してます。

そこで印象派〜ゴッホ・ゴーギャンのポスト印象派から大きな影響を受けます。

 

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『メランコリー』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き

陰影がなく平面的。国立新美術館で特別展が開催中のボナールにも似た雰囲気です。

 

しかしパリから程遠い北欧、ノルウェーで絵を描き続けた彼の画風はちょっと独特なんです。

 

日中の風景はまずないですし、夕方〜夜の絵ばかり。

  

他にもいくつかムンク作品には特徴があるのですが、それは本編の感想で説明します。

 

ムンクだけしかない超レアなムンクの大回顧展のレポートをどうぞ!

 

 

概要

会期:2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)
休室日月曜日、12月25日(火)、1月1日(火・祝)、15日(火)
※ただし、11月26日(月)、12月10日(月)、24日(月・休)、1月14日(月・祝)は開室
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室 金曜日、11月1日(木)、3日(土・祝)は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
観覧料: 

当日券 | 一般 1,600円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円


団体券 | 一般 1,400円 / 大学生・専門学校生 1,100円 / 高校生 600円 / 65歳以上 800円
※団体割引の対象は20名以上


※中学生以下は無料
※高校生は12月無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
※いずれも証明できるものをご持参ください 

出典:https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_munch.html

 

混雑状況・チケットはここで買うべし!

10/27(日)14:00頃に行きました。

チケット売り場はかなりの列で買うだけで15分くらいかかりそうです。

 

展示内もかなりの盛況。

みんなムンク好きなんだねー。

『叫び』もあるし、印象派っぽいからか。

 

  • チケットについて

JR上野駅構内の公園口改札手前にミュージアムチケット売り場があります。

ここでは上の喉の展示会のチケットも購入できて、かつ知名度がないのか、ほぼ並ばずにチケットを買えます。 

 

上にも書いたように、東京都美術館の館内チケット売り場はかなり混んでるので、駅ナカの売り場で買ったほうが時間の節約になりますよ!

 

撮影スポット

展示会場出口近くで『叫び』と記念撮影ができます。

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ちなみに女性が持ってるピカチュウのぬいぐるみは、ムンク展とのコラボグッズです。叫んでます。

 

グッズはいろんなとことコラボしてて力が入ってますね。

湖池屋(ムーチョの叫び)、ビームス、ルピシアとかです。

 

感想

長時間露光にムンク作品のナゾを解く鍵がある?

ムンクは多数の自画像を描いています。

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『自画像』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き

 

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『青空を背にした自画像』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き 

 

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『地獄の自画像』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き

 

初期は普通の絵を描いていたムンクはだんだん表現を求めるようになる。

 

そして絵画だけでなく写真でも自画像を残しています。

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『自画像:マラー』オスロ市立ムンク美術館蔵 wikipediaより

シャッターのスピードを遅くして、ブレた写真を意図的に撮影した作品があります。

 

ここにムンクを理解する鍵があるんじゃないか? 

と、この写真を見たときピンときました。

 

写真の技術に長時間露光というのがあります。

シャッターを開けっぱなしにして、動きをそのまま表現する技法です。

 

例えば、

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渋谷4号線を長時間露光で撮影

拙作でございますが・・・車のヘッドライトを長時間露光すると、光の線になって写し出されます。

 

その他、川の渓流や海のさざ波を長時間露光で写すと、流れる水がシルクのような雰囲気に変わる。そんな写真を見たことがあるでしょう。

 

ムンクは長時間露光という写真の技術を絵画に応用したんじゃないかな?

 

『叫び』を読み解く

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そう考えると、『叫び』がなんとなく理解できる気がします。

個人的に思ったことを並べてみます。

 

  • 空は真っ赤に燃える夕日が沈んでいくまでの、大気の揺らめきを表現
  • 右の緑の部分は木々が風に揺れているのを表現
  • 奥の湖は夕日を照らし、その手前の陸地は夕日が沈んだ後の暗闇を表す
  • 人工物の橋は動かないので、しっかりとした描写

 

こんな感じで、時間が流れている様子がひとつの画面の中に収まってます。

 

そしてこの絵は目線の誘導があります

空の線から始まり、木々→橋→人→湖→空・・・とぐるぐる回るように描かれてて、その動きで時間が流れているような感覚になります。

 

手前の男の顔ばかり気になるけど、周りの風景がかなり凝ってるんじゃないかなーと思いました。

 

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『月明かり、浜辺の接吻』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き

この絵では、男女の濃厚なキスシーンで顔が動く様子が描かれた結果、顔同士がくっついてしまう斬新な表現になっています。

 

月明かりの反射も特徴的ですね。ビームのように一直線に伸びる線で、月の浮き沈みの動きが表現されてます。

 

登り棒みたいに不自然に直線的な木もそうですね。

自然を単純な形にデフォルメして動きを出す技法があちこちに見られます。

 

幻想的な題材が多い。その中でも時間の表現が目立つ

ムンクが活躍したのは19世紀末。

そのまま世紀末芸術という幻想的なジャンルが流行ってたようです。

 

ルドンとか

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『眼=気球』ニューヨーク近代美術館蔵 wikipediaより ※ムンク展に展示していません。

 

クリムトとか。

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『接吻』ウィーン・ギャラリー蔵 wikipediaより ※ムンク展に展示していません。

 

ムンクも例に漏れず、自然の風景より内面の世界を映し出すようなテーマの絵を好んで描いていました。

しかし、上で挙げた2人と違うのは、やはり時間を表現しているところ

 

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『別離』オスロ市立ムンク美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き

 

分かりやすい絵ですね。恋人と別れて悲しんでいる男の絵。

男の頭から現れたかのように髪がなびき、女性のドレスと海岸線が同化しそう。

 

ここからも時間を線で表そうとする表現が読み取れますね。 

 

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『生命のダンス』オスロ国立美術館蔵 クリアファイルを撮影・切り抜き

左から白い服、赤い服、青と赤の暗い服の女性3人は、無垢、官能、死を表しているそうで、女性の時間的な変化を描いているとか。

 

えっ、つまり若い頃は無邪気だったけど、欲に溺れて、死に至るってことかな?

ムンクは女性関係でいろいろありましたので、悲観的な女性観が現れてます。

 

最後に

初めて見る作品ばかりでいい特別展でした!

 

欲を言えば作品はいっぱいあるんだけど、絵の解説のところでもっとムンクの生涯についても触れて欲しかったかな。ちょっと文章が少ない気がする。

 

個人展はそこが面白いところなので。図録を買えばよかったか?

 

作品に関しては、ムンクの表したかったことがなんとなくわかったような気がしました。

 

この記事で何度も出た、時間の表現。

 

そこがキーだと個人的に思います。

 

ムンクだけを扱う展示なんて滅多にないので、この機会を逃さないようにしましょうね。

 

 

同時開催中の美術展の感想はこちら。

 

www.maru-shikaku.net

 

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ルーベンス作品の特徴を解説!(2018年ルーベンス展@国立西洋美術館より)

こんにちは、まるしかです。

 

ルーベンスはわたしにとって、子供を描かせたら世界一な画家です。

 

国立西洋美術館が所蔵してるルーベンスの子供の絵が最高なんです!

 

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『眠るふたりの子供』国立西洋美術館蔵 現地にて撮影

髪の毛がクリクリなのと、何と言ってもほっぺたが真っ赤で可愛い・・・。

りんごほっぺ病か?ってくらい赤いんですけど、そこがルーベンスの色の特徴。

ちなみにふたりの視線に秘密があるんですが、それはまた後ほど。

 

ルーベンスはおそらく、人間の肌に赤色を大胆に置いた世界で最初の画家です。

それまでの画家の描く肌は、黄色かったりピンクがかってたり色々ありますが、全体的に控えめな彩色です。

 

モナリザとかね。

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wikipediaより

自然に見えるけど、血の気は感じられない。

 

同時代の画家では、今年初めに展示があったベラスケスなんかは、肌に彼のキーカラーであるピンクを生に使ってるところが特徴的ですが、ルーベンスはもっと血を連想させる赤を使って、肌を血色よくしてます。

 

さらに緑もポイントです。

影に対比色の緑を使うことでより赤を目立たせてます!

ぜひ、絵の中の緑色を探してください。

 

さて、そのルーベンスは23歳の年から8年間、イタリアで過去の巨匠の作品を研究しました。もともと抜群に絵が達者だったルーベンスは、イタリア時代を経て、ある秘訣を習得します。 

 

 

そこのところをこの記事では解説していきます。

 

※この記事は、2018.10.16~2019.1.20に開催された「ルーベンス展ーバロックの誕生(国立西洋美術館)」を訪問して書いた、当時の感想を元に加筆修正しています。 

 

 

  

イタリアから学んだこと:動きの表現方法 

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アゲサンドロス、アテノドロス、ポリュドロス『ラオコーン』制作年不明 バチカン美術館蔵 wikipediaより

あのミケランジェロも影響を受けた古代ギリシアの作品『ラオコーン』。

ラオコーンとその息子2人が、死を目前に苦しむ姿の像です。

ルーベンスもこの像を模写し勉強しています。

 

ポーズを真似して見てください。すごく苦しい。

 

左の男の子の首がおかしなことになってるし、ラオコーンの上半身のひねりや、右腕の位置は無理があります。

でも、もがき苦しんでる様子を的確に表してるんですね。

 

そんなデフォルメをルーベンスは学びました。

 

学んだことをよく表してる作品がこちら。

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『パエトンの墜落』ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵 wikipediaより

ギリシア神話パエトーン太陽神の戦車を暴走させたために、ゼウスの雷を受けて墜落する場面を描いている。

wikipediaより

人々の身体がすごいことになってます。

真ん中らへんの女性のポーズが特に。

ちょっと右下の男性は逆さまになってます。

 

どれもこれも雷の光の線に沿って作られたポーズなんです。

迫力ありますよね。

ルーベンスは主題に古典の物語を好んで選んでいます。

絵に動きが入ることで臨場感を高めています。これが狙いです。

では、狙いの動きを表現するためにどういう技を使ったのでしょうか?

 

その特徴は2つ挙げられます。

 

ルーベンスの特徴その1:斜めの線が大好き

画面に斜めの線があると躍動感が出ると言われています。

逆に落ち着きと安定を表す垂直と水平は、ルーベンス作品にはほとんど出てきません。

 

上の『パエトンの墜落』もそうですし、

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『聖アンドレの殉教』。これ絶対バツ型の十字架に興味があって描いたでしょと思っちゃいました^^;

ポニョポニョしてて可愛い天使たちの身体の向きとか、手前で目立ってる男と女の位置や手とか、もろもろ全部斜めを強調する配置になってます。

 

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これも子供の目線が斜めですね。

 

寝てる姿って、普通静かな感じを出すために水平の線を取り入れがちですが、ルーベンスの描く子供は、コロコロ転がりそうです!

いかにも子供の寝てる姿って感じで、意外にも計算された絵なんです!

 

ルーベンスの特徴その2:振り向き過ぎ。ギョロ目過ぎ。

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『スザンナと長老たち』エルミタージュ美術館蔵 英wikipediaより

基本的にルーベンス作品に出てくる人は振り返ることで感情を表します

ここでは恐怖。

それと、目の向きでも動きを訴えますね。黒目の位置が極端。

 

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『キリストの埋葬』ボルゲーゼ美術館蔵

キリストを抱えてる女性の黒目もすんごい上向いちゃってます。

この絵もいっぱい隠れた斜めの線がありますね。

  

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『エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち』リヒテンシュタイン侯爵家コレクション 展示会チラシを撮影

ケクロプスの娘たちはアテーナーからエリクトニオスの入った箱を預けられたとき、中を見ることを禁じられたにもかかわらず、箱を開けて見てしまい、エリクトニオスを守っていた蛇か、あるいはアテーナーの怒りにふれて滅びたという。

wikipediaより 

ちょっとロゴがあって見づらいですが、下の方に下半身が蛇の子エリクトニオスがいます。上の引用通りの話だと、この後恐ろしいことが起きるんでしょうか?

 

この絵も女性の体とか斜めの線ばかりだし、真ん中の子供の目は、

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上の写真を拡大

真上に飛び出てます。

斜め上の視線というのはあり得るけど、真上を見ることってほぼないのではないでしょうか?

 

自然なように見えてちょっと違和感のあるところが、絵にインパクトを与えているんだなと考えました。

 

最後に

  • 肌に原色を置いて生命力を表現した。
  • イタリア仕込みの大胆なポーズで絵の臨場感を高めた。
  • 斜めの線をたくさん取り入れることで、さらにダイナミックに。

このあたりがルーベンス作品の特徴です。

ここまで書いてきた見方でぜひ作品鑑賞してくださいね。

それでは!

 

フェルメール展の感想@上野の森美術館

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【追記】大阪会場の開催概要を追加しました。

 

こんにちは、maru-shikakuです。

 

白いトンネルを抜けると、フェルメールルームだったーー。

 

1部屋でフェルメール8作品全てが見渡せるその部屋に入った途端、

まるで『雪国』の冒頭文のように世界が開けたような感覚が強烈に襲いかかり、

しばらく感動でたたずんでしまいました・・・!

 

まして目の前、部屋の中央に位置するのは、

わたしの1番好きなフェルメール作品『真珠の首飾りの女』。

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『真珠の首飾りの女』ベルリン国立美術館蔵

※以下、作品画像は全てwikipediaのパブリックドメインから。

 

6年越しに再開したこの作品を観て当時の感動が蘇り、思わず息を飲んでしまいました。

 

とまあ、ちょっと凝った文で始めてしまいました^^;

それくらいインパクトのある展示会ということです。

 

9/35。

 

この数字は展示会のCMやポスターで見たことがあるかもしれません。

フェルメール全作品35点のうち9作品が見られる、かつてない展示会ということです!

 

1つか2つ来るだけでも大騒ぎなのにね。

ってこの記事を読んで頂いてる方はもう知ってるか。

※『取り持ち女』という1作品だけ2019年1月9日〜の追加出展となりますので、現在は8点の展示となります。

 

わたしは前売りチケットを手に入れてこのあいだの3連休に行ってきましたー。

日時指定チケットなのに指定時間の30分前でもすごい行列です。

 

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これは行列のほんの一部。後で比較的空いてるタイミングを教えます。

 

2500円と強気な値段設定ですが、音声ガイドが無料でついてくるからそれ込みの値段ということで。

 

音声は石原さとみさんです。

だいぶ緊張してるなー、というのが伝わってきます笑。

 

先日行ったボナール展の神田沙也加さんがかなりこなれてるだけあって、余計にそう思ってしまいました。展示会の規模が規模だけに、大人の事情もあるのかな。

 

 

いろいろとスペシャルな展示なので、感想ではフェルメール全作品について触れます!

それと感想以外の要素も充実させて書いていこうと思います!

 

詳しくは下の目次で!

全体的に長い記事です。興味のあるところをクリックすればそこに飛びます。

 

 

概要(大阪会場追加)

大阪会場はこちら。日時指定がないのは嬉しいですね。

さらに、大阪限定で作品が一つ追加です。

 

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『恋文』アムステルダム国立美術館蔵

 

会場:大阪市立美術館

JR天王寺駅から徒歩6分。天王寺公園内。

 

 

会期

2019年2月16日(土)~5月12日(日)
※会期中の展示替えはありません。

開館時間

9:30〜17:00(入館は16:30まで)
※東京展で実施の「日時指定入場制」は大阪展では行いません。

休館日

2月18日・25日、3月4日・11日・18日
※3月19日以降、無休で開館いたします。
※災害などにより臨時で休館となる場合があります。

料金

一般 1,800円(1,600円)、高大生1,500円(1,300円)

※( )内は、前売りおよび20名以上の団体料金

※中学生以下、障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)は無料(要証明)。

※本展は、大阪市内在住の65歳以上の方も一般料金が必要です。

※前売券は2018年11月16日(金)~2019年2月15日(金)まで販売。

 

早割ペアチケット
<早割ペアチケットの販売は終了しました>
2019年2月16日(土)~3月31日(日)までの入場期間限定
※早割ペアチケットの販売期間 【2018年10月5日(金)~11月15日(木)】2枚で3,000円(1枚ずつの使用可)

 

※チケットは、公式オンラインチケットローソンチケット(Lコード:59000)、チケットぴあ(Pコード:769-345)、セブンチケット(セブンコード:069-705)、イープラスCNプレイガイド、近鉄営業所でお買い求めいただけます。

出典:https://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/vermeer

 

 

東京会場は終了しました。

 

開館時間:9:30~20:30(入場は閉館の30分前まで)

 

※開館・閉館時間が異なる日があります。

※12月13日(木)(休館日が追加となる場合があります。)


観覧料:前売日時指定券(税込)一般 2,500円、大高生1,800円、中小学生1,000円

 

※未就学児は無料

※購入後のキャンセル・変更は一切できません。

※学生の方は入場時、学生証をご提示いただく場合がございます。

※障がい者手帳をお持ちの方とお付き添いの方1名まで割引がございます。

  • インフォメーションダイヤル 0570-008-035(オペレーター対応 10:00~18:00/会期中9:00~20:00)へお問い合わせください。
  • ご来場時、障がい者手帳をご持参ください。
  • チケットポート各店(http://www.ticketport.co.jp/shop/index.html)および、
  • チケットぴあ店舗(http://pia.jp/shoplist)でもお買い求めいただけます。

※1回のご購入は、お一人様6枚までとなります。

※チケットをお忘れの場合、また、指定日時以外にご来館いただいた場合は入場できません。

※団体割引、高齢者割引はございません。

※会期中、一部作品の展示替えがございます。「赤い帽子の娘」‪10/5(金)〜12/20(木)‬、「取り持ち女」‪1/9(水)〜2/3(日)‬

※来場者1名様につき1台、音声ガイドを無料にてご提供いたします。

※営利目的のチケット転売は、いかなる場合にも固くお断りいたします。

※入場時に手荷物検査を実施する場合があります。

※購入したチケットは、必ずお引換えのうえ、ご来場ください。会場での引換えはできません。

※フェルメール展ではチケットにかかる各種手数料は無料です。(配送手数料を除く)

出典:http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=857636

https://www.vermeer.jp/ticket/

 

アクセス:上野の森美術館は、JR上野駅公園口から横断歩道を渡って公園に入り、左をずっと進むとあります。徒歩3分くらいのところ。

 

フェルメール展用に矢印看板がいくつかできてたので迷う心配はありません。

 

チケットの取り方

大阪会場は通常の買い方でOK。

 

日時指定入場券とは

待ち時間緩和を目的とし、事前に入場券を購入いただく方式です。1日を6つの入場時間枠に区切り、その間の入場者数を調整します。

 

  9 : 30 ~ 10 : 30
11 : 00 ~ 12 : 30
13 : 00 ~ 14 : 30
15 : 00 ~ 16 : 30
17 : 00 ~ 18 : 30
19 : 00 ~ 20 : 00

チケット情報|フェルメール展

↑後で公式サイトをチェックして見てください。

 

休日は当日券はないと思ってください。平日でもなるべく前売り券を購入することをお勧めします。

 

チケットぴあ、もしくはフジテレビダイレクトから購入できますが、今後も前売り券を買うかもと考えてチケットぴあを選びました。

 

ぴあでちょっと面倒なのが、

セブンやファミマ、ぴあの各店舗のいずれかで購入。

→cloakというサービスのサイトで各店舗受け取りを選択。

→各店舗でcloak引き換え番号を伝えてチケットをGETする。

 

購入して即発券されません。cloakで受け取りを選んで出る番号で初めて発券されるのでご注意。

 

撮影スポット

展示会場内部は撮影厳禁になってますが、美術館外壁に巨大なフェルメール作品がプリントされてます。

なのでそれをバックに記念撮影するのがいいかと。

 

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午後は木漏れ日が当たって、光りと影がいい感じに。

 

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入り口近くのこちらもいい撮影スポットです。

 

指定時間のどのタイミングで行くべきか?

これ結構重要です。

公式サイトに書いてある通り、各入場時間枠の後半がお勧めです。

 

例えば、9 : 30〜10 : 30の枠の場合。

10:00〜10:30の間なら入場前の列はありませんのでそこで入る。
11 : 00〜12 : 30の人たちが来る前に見学を終わらせる。
 
これがベストです。

 

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空いてる時間帯は入り口に全く列がない状態です。

 

ちなみに時間枠の最初はというと・・・

 

わたしは15:00〜16:30の枠でした。

14:30に来てみたら行列が始まってて慌てて列へ。

 

わたしのように都合で時間枠の最初に行かなければならない場合は、少なくても30分前、できれば40分前に並ぶことを強くお勧めします。

 

冒頭の写真は行列の一部で、 

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折り返しから見た風景。実は左端から大きく迂回して奥にも列が続いてます。

 

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一部拡大すれば、奥にズラーっと人がいることがわかるかと思います。 

 

混雑具合・所要時間の目安

入る前の様子は上でわかったかと思います。

それでも入場制限しているせいか、中は人でごった返してる、というわけではありません。フェルメールルームはとても広いので、最前列でなければ意外と快適に観れます。

 

一番前はおばちゃん達がひしめいてぜんぜん進んでくれません!

もし絵を細かく観たいのであれば、双眼鏡を持って行った方がいいでしょう。

 

目安としては、早い人なら30分以内、じっくり観ても1時間程度といったところです。

 

そうそう、来た人にはもれなく作品の解説が書いてあるポケットブックがもらえます。

 

絵の意味や背景が簡単に載ってるので、それを見ながらだとより楽しめます。

 

感想

ここからはフェルメール作品の解説です。

特に気に入った5点の絵画については詳しく書いていきます。

合わせて展示されていたオランダ画家の作品について取り上げます。

 

フェルメール各作品の解説

牛乳を注ぐ女

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『牛乳を注ぐ女』アムステルダム国立美術館蔵

 この絵は何より注ぐポーズが完璧で、延々と注いでるんじゃないかと思うほどです。

 

 一瞬が永遠に感じられる。それこそ決定的瞬間と言えるでしょう。

 

ちょっとマニアックなところでは、いっぱい見えない線があります。

水平:右腕、牛乳を受ける器の口、テーブルの水平線

垂直:メイド、牛乳、窓やテーブルの垂直線

クロス線①:メイドの視線、牛乳を受ける器、テーブルの角

クロス線②:窓、パンを入れる容器、メイドのスカート、足温器

※足温器とはその名の通り足元を温める道具です。中で炭が燃えてます。

 

また、この作品はフェルメールブルーの代名詞のようなものです。

メイドのスカートの部分、実物はすごかったですねー!

 

透き通らず、濁ってもなく、生の青い顔料そのものが張り付いてるような、純度100%の状態。

 

多分全く劣化せず、350年間ずーっとこの色だったんだろうなと想像してしまいますね。一見の価値ありです。

 

ちなみに壁に釘があったり、釘の跡があったりします。

絵の制作の際、釘を消失点としてそこから糸を通してピンと張り、遠近法の線を作ってたみたいですね。

わざわざそれを描いてる。壁のリアルさを追求した結果なんですね。

 

全体的にフェルメールは壁の描写がすごいです。次の作品も例外じゃありません。

 

真珠の首飾りの女

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『真珠の首飾りの女』ベルリン国立美術館蔵

フェルメールの魅力を教えてくれた最初の作品にして、個人的No.1でもあります。

『牛乳を注ぐ女』を今回初めて観たのですが、第1位の座は揺るがなかった。

それくらい完璧で感動的な作品です。

 

上の画像は実物と色味が違いすぎてあまり参考にならないのですが、見どころとしては、

 

  • 世界一美しい壁の色。空気感がすごい

実際はもっと暗くてグラデーションがかかってます。

その灰色がとても繊細で、張りつめた空気感があるんです。

ましてライトに照らされて絵の具が輝くと一層すごい。

この色は印刷はもちろん、4Kモニターでも再現できないでしょう。

 

  • 女性の黄色い衣装の輝き

展示は黄金時代のオランダ画家作品→フェルメール作品という順番で構成されてます。

その他の画家も似たような服装の女性を描いてたりするのですが、衣装の輝きがぜんぜん違う。

 

フェルメールイエローという単語ができてもおかしくないくらい、彼は青に限らず黄色に関しても達人だと思います。

 

理由は輝いていない色の色使い。

 

光を絞ると光がより光って見えるように、鈍い色、くすんだ色で正確にグラデーションを作ることで、ハイライト色がより輝いて見えます。

 

優れた画家はくすんだ色を乗せても汚く見せませんね。

 

  • 映画のワンシーンのようなさりげない視点と印象的な瞬間

おそらくここが日本人に好まれるところです。

画家の目を感じさせない視点が映画のようです。

それに真珠の首飾りを手にとって鏡?を見つめてる女性。

テーブルには、白粉をはたくブラシや銀色の器があります。

 

これからお出かけなのか?誰か家にやって来るのか?

わからないけど、とにかく何かが始まる予感。

そんな奥ゆかしい瞬間が日本人には合ってるんじゃないかな。

 

リュートを調弦する女、手紙を書く女

上の3つの見どころは同時に展示されてる下の2作品にも当てはまります。

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『リュートを調弦する女』メトロポリタン美術館蔵

こちらはよりダークな雰囲気。

 

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『手紙を書く女』ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵

こちらは画面左からの光(サイド光)で作られる衣装のグラデーションが優れてます。

 

製作年度は、

1664年頃:リュートを調弦する女

1664年頃:真珠の首飾りの女

1665年頃:手紙を書く女

の順で前後しているので、このシチュエーションの光と影について実験していたのかもしれませんね。

 

赤い帽子の女 

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『赤い帽子の娘』ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵

日本初公開で話題の絵・・・と言いたいところだけど、正直一番人だかりが少なかった^^;

思ってた通りちっちゃすぎるし(22.8×18cm)、女性の顔がピンボケみたいだし、背景適当すぎるし。というのが理由かな。

 

この作品は板に書いたものです。

布地のキャンバスと素材の質感が違うことで、新しい光沢の効果を実験したのでは?と言われてます。

 

だから、目元なんかどうでもいい。鼻の頭、唇、真珠の耳かざりのハイライトがどんな感じになるのかだけが知りたい。そんな狙いが考えられます。

 

それと座ってる椅子についてるライオンのオブジェが光で滲んでるような、はっきりしない描写です。

フェルメールは絵画制作でカメラ・オブスキュラという一種のピンホールカメラを活用したと言われています。

カメラのレンズを通して強い光が入り、ハレーションを起こして滲みが出たと考えられてるんですって。現地でこの部分をチェックしてみてください。

 

それと、この絵を観て個人的に感じたことですが、 

 

もしかしたら元々もっと大きい絵で、今あるのはその一部だったんじゃないか?

 

上に書いた通り、

  • 絵が小さすぎ
  • フェルメールは緻密に描く画家ではないが、描写が適当すぎる

さらに、

  • アップすぎて座ってる椅子の上先端しか見えてない

言われないと、ライオンのオブジェが椅子の一部だって気づかないですよね。

フェルメールの作品に描かれてある物は、どれもそれが何なのかわかるように描かれてるです。当たり前のことですよね。

なんで、構図がちょっと変かなと。

 

上の3つの疑問から、もしかしたら切断されて今の絵になったかも。

こういう考えって今まであったのかな?

 

その他3点の作品もなかなか。簡単な感想 

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『マルタとマリアの家のキリスト』スコットランド・ナショナル・ギャラリー蔵

フェルメール最初期の作品。

注文品らしく珍しい宗教画です。

フェルメールらしい大胆な筆使いが見られますが、まだまだ技術的に未熟。

 

大胆な筆使いについて。

基本的にフェルメールは、細かい描写をいかに効率的に描くかという省エネの画家です。

そんなに緻密に描いてないんだけど、離れて観るとものすごく細かく感じます。

 

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『手紙を書く婦人と召使い』アイルランド・ナショナル・ギャラリー蔵

この作品は後期の作品です。中期の『真珠の首飾りの女』と違って、太陽光が直に部屋に入る、硬い光が特徴。

手紙を書く夫人の腕周りの衣装はよーく観ると、カクカクしてておかしいです。

でも、離れるとその部分に直射日光が当たってるなーと一目でわかってしまいます。

 

そういうところが技ですね。

 

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『ワイングラス』ベルリン国立美術館蔵

フェルメールルーム最後の作品はこちら。

寓意があるそうだけど、わたしあんまり寓意は興味ないので、ふーんって感じで通り過ぎました。 

 

オランダ黄金時代の画家たちの作品

明らかにおまけでついてきた感じのフェルメールの時代周辺の画家たちの作品。

 

気になったのは、

オランダ関係の展示ではおなじみヤン・ステーン様。

この方は便利に使われすぎて"様"と呼びたくなる。おそらく今度のルーベンス展にも登場するでしょう。

 

そして、ヤン・ウェーニクス作『野うさぎと狩りの獲物』がフェルメール以外では一番。

死んだ野ウサギの毛がもさもさ・フサフサしててよかったな。

 

最後に・図録について

フェルメール好きには間違いなくたまらない展示会です!

来年の『取り持ち女』が公開したら、もう1度行こうか?迷います。

 

タイミングを図ればそこまでゴミゴミしてないのでスケジュールをしっかり立ててくださいね。

 

最後に図録について。

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TOP画像は図録を撮影して、ちょっとカッコよく加工したものです。

中の黒一色の冊子がいい感じ。

税込3,000円と高いんですが、フェルメール作品の解説が詳しいのと、年表に全作品の話も載ってるので見ごたえがあります。

 

面白かったのは、フェルメールが何を描かなかったか?というコラム。

視点が面白いですよね。そこから、今ある作品はどんな意図で描かれたのか?を考えるきっかけになるかと。

 

以上、フェルメール展の感想でした!

 

 

同時開催の美術展感想の記事はこちら。

www.maru-shikaku.net

 

こちらはフェルメール展の予習編。

この記事では触れなかったフェルメール独特の空間について書いています。 

www.maru-shikaku.net

ボナール展の感想@国立新美術館

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こんにちは、maru-shikakuです。

 

ピエール・ボナールといえば、望遠レンズで写した世界のように遠近感が薄く、極端に平面的な絵が特徴的な画家という認識でしたね。

 

実際若い頃の作品でこんな絵が展示されています。

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《庭の女性たち》1890-91年 オルセー美術館蔵 クリアファイルの一部を撮影

長い縦長の構図に日本画で使われそうなパステルグリーン。

 

上のような感じの絵ばかり描いていたんでしょと思ってました。

 

でも、ボナールの生涯を通した今回の作品展を見たら、上の作品のような作風は一部で、結構色々と雰囲気を変えていたのがわかりました!

 

自分の上っ面なイメージが覆されて湧いてくる面白さ。

終わりつつある藤田嗣治展でも感じたこの面白さを、このボナール展でも感じましたね。

 

本国フランスでは近年ナビ派の画家たちへの評価が高まり、2015年にオルセー美術館で開催されたピエール・ボナール展では51万人が魅了され、2014年のゴッホ展に次ぐ、歴代企画展入場者数の第2位を記録しました。 

出典:http://bonnard2018.exhn.jp/about/

 

日本ではどちらかというとマイナーな画家ですが、フランスでは超有名みたいですね。それほどの大家です。

 

とまあ展示そのものの魅力はあるのですが、音声ガイドも満足しまして・・・

 

神田沙也加さんがナレーションしてます!

 

アナ雪でいいなと思ってたこの声。その場で知ってノリでガイドを借りてみたのですがよかった!

 

では感想をどうぞ!

 

 

概要 

会 期 2018年9月26日(水)~ 12月17日(月)
毎週火曜日休館
開館時間 10:00~18:00 
毎週金・土曜日は20:00まで。ただし9月28日(金)、29日(土)は21:00まで
※入場は閉館の30分前まで
観覧料(税込)
当日 1,600円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生)
前売/団体 1,400円(一般)、1,000円(大学生)、600円(高校生)
  • 中学生以下および障害者手帳をご持参の方(付添いの方1名含む)は入場無料。
  • 11月14日(水)~11月26日(月)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)
  • 高校生無料観覧日については追って発表いたします。
 
  • チケット取扱い : 国立新美術館(開館日のみ。企画チケットは取扱なし)、展覧会ホームページほか、主要プレイガイド(手数料がかかる場合があります)
  • チケットの詳しい情報は、展覧会ホームページのチケット情報をご覧ください。
  • 団体券は国立新美術館でのみ販売(団体料金の適用は20名以上)
  • 会期中に当館で開催中の他の企画展および公募展のチケット、またはサントリー美術館および森美術館(あとろ割対象)で開催中の展覧会チケット(半券可)を提示された方は、本展覧会チケットを100円割引でご購入いただけます。
  • 国立美術館キャンパスメンバーズ加盟の大学等の学生・教職員は本展覧会を団体料金でご覧いただけます。
  • その他の割引などお得な情報はこちらをご覧ください。
  • 会場での観覧券購入に次のクレジットカードと電子マネー等がご利用いただけます。
    クレジットカード:UC、MasterCard、VISA、JCB、AMEX、Diners Club、DISCOVER
    電子マネー:Suica(スイカ)、PASMO(パスモ)、ICOCA(イコカ)等、iD その他:J-Debit、銀聯

出典:http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/bonnard2018/

 

混雑具合

ボナールはやはり日本ではそこまで有名ではないせいか、人は多くありません。

 

国立新美術館はものすごく広いので、かなりゆったりと鑑賞することができます。

ホッと一息つきたいときに立ち寄るのがいいかもしれません。

 

感想

めっちゃ浮世絵

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《黄昏(クロッケーの試合)》1892年 オルセー美術館蔵 クリアファイルの一部を撮影

ボナール25歳の作品。この頃の緑の使い方が好き。

影が一切なく、圧縮された風景は浮世絵の影響を受けまくってます。

手前の人たちの服の模様も浮世絵的で、立体感が全くない。

 

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《大きな庭》1895年 オルセー美術館蔵 クリアファイルの一部を撮影

この絵はそこまで浮世絵ぽくないのですが、人物や動物の配置がやはり日本ぽい。

重なりが一切なく、上の絵だと犬とか女性のように真横を向いたポージングも現実離れしてます。右端の女の子なんか半分見切れてる。

 

ボナールの配置の仕方はかなーり独特で、そこが面白いポイントですね。

 

ここには載せませんが、ボナールの別荘?でくつろぐ人たちの絵がとっても印象的でした。

親しげに会話しているんだけど、みんな真正面か真横を向いて、居心地が悪そうなところに現代アートを感じました。

 

ポスターアートや挿絵もうまい!

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《フランス=シャンパーニュ》1891年 川崎市市民ミュージアム蔵 クリアファイルの一部を撮影

画風から当然といえば当然ですが、当時大流行りしたポスター画にボナールは挑戦します。上はデビュー作。

めちゃシャンパンが溢れてますが笑。こういう演出はセンスですね。

 

こちらは演劇『ユビュ王』の主人公ユビュおやじ。

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ミュージアムショップで売ってるクリアファイルの裏側に書かれてます。

 

漫画っぽいですよね。

ユビュおやじはキモかわいくて、中身は完全なオヤジ。今でいうと、テッドみたいな感じらしいです。

 

写真もよく撮ってた

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wikipediaより 本展示にはありません。

こちらはボナールの自画像です。いやーイケメンですね。展示されてる写真にもかなーり決まってるセルフポートレートがありました。

 

彼はコダックのポケットカメラで絵の習作がわりに素っ裸の奥さんや、子供同士が格闘する日常風景を撮っていました。

夢中になるあまり、自ら素っ裸になった写真も。

 

わたしだったら絶対死ぬ前に処分しちゃう笑。

 

奥さん・マルトの衝撃の事実

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《化粧室 あるいは バラ色の化粧室》1914-21年  オルセー美術館蔵 クリアファイルの一部を撮影

一日に何回も入浴しちゃう奥さんの、やっぱり入浴シーンをたくさん書き残してます。

 

この辺の作風はちょっとドガっぽくて、下を向いたり後ろを向いたりで顔が隠れて見えない。体のラインだけを見てくれと言いたげな絵です。

そのラインも、やせ気味の奥さんをモデルにしてるので、ルノワールとは正反対の、肉感があまりなく、すらーっとした感じ。

 

ドガと同じでボナールも足が好きだったっぽい。

奥さんが前のめりに座ってつま先を前に出してる絵とか、膝からつま先までのラインが綺麗でよかったな。

 

その奥さん、マルトですが、かなり衝撃の事実がありまして。

 

ボナール26歳の時、マルト16歳という10歳の年の差カップルが長いこと続きます。

ボナール58歳の時、ボナールを好きな女性に嫉妬してマルトの方から結婚を申し込み、無事籍を入れました。

 

そこでですよ。「実はわたし、あなたの2歳年下なんです」

 

/(^o^)\

 

8歳もサバ読んでたんかい。しかも本名マリアだって。

そんな告白を受け入れたボナールは芸術家の鏡です。

 

マルトはここにも。

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《猫と女性 あるいは 餌をねだる猫》 1912年頃 オルセー美術館蔵 クリアファイルの一部を撮影

 

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《ル・カネの食堂》1932年  オルセー美術館蔵 クリアファイルの一部を撮影

 

配置のクセがすごいボナールは、絵の中に唯一いるモデルの奥さんをも置物と同列に並べています。

前景の置物からどんどん絵の上の方に視線を移動させて、あっ、いたいた。という見方がボナール推奨の鑑賞法らしいですよ。

 

ちなみに上の方にもありますが、ボナールは猫をよく描きます。

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《白い猫》 1894年 オルセー美術館蔵 クリアファイルの一部を撮影

なんとなく描きたいことはわかるけど、ちょっとキモかわの部類よ?

 

この猫に関しては美術館側もかなりイジってて、手ぬぐいにしたり、インスタで、

#びよーん猫

と題し伸びた猫の写真を募集してます。結構伸び伸びだなあ。

#びよーん猫 Instagramキャンペーン|オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展|国立新美術館 2018年9月26日(水)〜12月17日(月)

 

最後に

正直な話、晩年の作品についてわたしとしては、ボナールの個性が薄れていったような感じがして、それほどのインパクトは受けませんでした。たまたま今回の展示品がそうだっただけかな?

 

が、その手前の年代の作品については、浮世絵的で構図・物の配置が独特なところが唯一無二で、同時代の印象派画家たちと一線を画してます。そこが面白かったですね。

 

浮世絵に影響されたボナールはこれから再評価が進みます。生涯とともに彼を深く知れるボナール展は芸術の秋にぴったりですね。

 

同時開催の展示会の感想はこちら。

www.maru-shikaku.net